2001 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌かく乱物質の新規G蛋白質連関型神経ステロイド受容体への作用機構の解明
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13833005
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 明 長崎大学, 薬学部, 助教授 (70257187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 恭伸 長崎大学, 薬学部, 助手 (40311865)
植田 弘師 長崎大学, 薬学部, 教授 (00145674)
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Keywords | 疼痛 / 神経ステロイド / ヒスタミン / 肥満細胞 / G蛋白質 / ホスホリパーゼC / 百日咳毒素 / プロゲステロン |
Research Abstract |
これまでマウスに対する末梢性疼痛試験法を用いた実験より、神経ステロイドであるデヒドロエピアンドロステロン硫酸抱合体(DHEAS)及びプレグネノロン硫酸抱合体(PREGS)足蹠皮下投与による応答を観察したところ、それぞれ0.1amol及び1amolの低用量から侵害応答が観測され、その応答はプロゲステロン(PROG)により拮抗された。この低用量での侵害応答は百日咳毒素非感受性で、ホスホリパーゼC阻害剤、あるいはヒスタミン拮抗薬のジフェンヒドラミン(DPH)足蹠皮下投与により抑制され、肥満細胞からのヒスタミン遊離を介した応答であることが示唆された。一方、DPH存在下においても、1pmol以上のDHEASにより侵害応答が観察された。この応答は、PROGにより拮抗され、また百日咳毒素感受性であった。以上の結果から、神経ステロイドは二種類の受容体を介して知覚神経興奮を引き起こすことが示唆された。次ぎに、神経ステロイドが直接肥満細胞を活性化し脱顆粒を引き起こすかどうかを検討した。肥満細胞の株化細胞であるRBL-2H3細胞を用い、刺激に応じて放出されるβ-ヘキソサミニダーゼの活性を測定し脱顆粒応答を評価した。神経ステロイドは、末梢性疼痛試験法で用いたPREGS、DHEAS、そしてPROGについて検討した。その結果、PREGSとDHEASによる濃度依存的なβ-ヘキソサミニダーゼの遊離が認められた。一方、PROG単独ではβ-ヘキソサミニダーゼの遊離は引き起こさなかったが、PREGSおよびDHEASの作用に対して拮抗した。神経ステロイドが肥満細胞を活性化し、脱顆粒を引き起こすという今回の結果は、in vivoで見られた神経ステロイドによる侵害応答の分子機構を証明するものである。神経ステロイドによる肥満細胞の脱顆粒応答の詳細な分子機構については、細胞内カルシウム測定を含めた様々な観点から解析中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 植田弘師: "Metabotropic neurosteroid/sigma-receptor involved in stimulation of nociceptor endings of mice"J Pharmacol Exp Ther.. 298. 703-710 (2001)
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[Publications] 植田弘師: "Neurosteroids stimulate G protein-coupled sigma receptors in mouse brain synaptic membrane"Neurosci Res. 41. 33-40 (2001)