2001 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン胎盤・母乳暴露によるラット脳セロトニン異常
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13833006
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
口岩 聡 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (90161637)
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Keywords | ダイオキシン / セロトニン / 神経毒性 / 神経化学的影響 / 胎盤母乳暴露 / 内分泌かくらん化学物質 / 免疫組織化学 / 環境ホルモン |
Research Abstract |
内分泌撹乱化学物質の一種であるダイオキシン類の毒性の一つに中枢神経毒性が示唆されているが、現在のところ必ずしもその確証は十分に得られていない。もしダイオキシン類が人体に対して重大な中枢神経毒性を及ぼすとすれば、成人に対するよりも胎児や新生児に対する影響が危倶される。私は"実験的に母動物にダイオキシンを投与すると、その産子に排他的(または攻撃的)行動の頻度増加が認められる"ことを観察した。このことは、ダイオキシン類の胎盤・母乳暴露によって中枢神経に影響が生じることを示唆している。本研究では、これを実証するために、ダイオキシンの胎盤・母乳暴露を受けたddY系マウスを用いて、縫線核群におけるセロトニン産生細胞の減数を免疫組織化学法を用いて定量的に調査を行った(当初Long-Evans系ラットを用いる予定だったが、試薬の都合等によりマウスに変更した)。実験材料と方法:メスのマウスを4群に分け、第1群には6.6×10^2pg/kg・day、第2群には6.6×10^4pg/kg・day、第3群には6.6×10^6pg/kg・dayの2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)を含む食用油を、8週間にわたり、ゾンデを用いて胃内に直接投与した。第4群(対照群)にはTCDDを含まない同量の食用油を与えた。これらのTCDD投与メスマウスと非投与マウスを交配し、産子を得た。産子を母乳飼育し、6週齢でセロトニン産生細胞の免疫組織化学を行った。染色された縫線核のセロトニン免疫陽性細胞の数を画像解析ソフトを用いて定量的に調査した。実験結果と結論:6週齢のオスマウスの縫線核セロトニン免疫陽性細胞数は、対照群の1/2〜1/4が検出されるのみであった。このことは、胎盤または母乳を介してTCDDを暴露した場合に、産子の脳内セロトニン合成が著しく障害される可能性があることを示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kuchiiwa, S., Cheng.S-B., Nagatomo, I., Akasaki, Y., Uchida, M., Tominaga, M., Hashiguchi, W., Kuchiiwa, T.: "In utero and lactational exposure to 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin decreases serotonin-immunoreactive neurons in raphe nuclei of male mouse offspring"Neuroscience Letters. 317. 73-76 (2002)
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[Publications] Cheng, S., Kuchiiwa, S., Nagatomo, I., Akasaki, Y., Uchida, M., Tominaga, M., Hashiguchi, W., Kuchiiwa, T., Nakagawa, S.: "2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-p-dioxin treatment induces c-fos expression in the forebrain of the Long-Evans rat"Brain Research. (In Press).