2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13833007
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
廣井 豊子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30305643)
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Keywords | 内分泌かく乱化学物質 / 中枢神経系 / ビスフェノールA / 脳内アミン |
Research Abstract |
内分泌かく乱化学物質の一つであるビスフェノールA(BPA)の胎児期投与によって、新生仔の脳内のアミンが減少することを我々は既に明らかにしている。本年度の研究で、BPAによるこの作用の機序を明らかにするために、神経細胞に存在するBPA受容体の探索を行った。様々な内分泌かく乱化学物質は、細胞質内に存在するエストロゲンレセプターを介して、生殖器異常を引き起こすことが明らかになっている。しかし、BPAはエストロゲンレセプターに対する親和性は低いため、我々は神経系へのBPAの作用は、エストロゲンレセプターとは異なる受容体を介していると考え、神経細胞膜画分を新規受容体探索の材料とした。ラット脳60匹からシナプトゾーム画分を含む粗P2画分を調製した。放射性標識したBPAのこの画分への結合活性を測定したところ、特異的結合活性が見られた。この結合活性は、エストロゲンの添加によっても阻害されないことから、エストロゲンの受容体やその類似蛋白質でないことが示された。そこで、この画分からの受容体蛋白の精製を開始した。様々な膜可溶化剤、可溶化条件の検討の後、粗P2画分を非イオン型界面活性剤で可溶化し、その後イオン交換クロマトグラフィーAffinityクロマトグフフィーを行うこととした。Affinityクロマトグフフィーでは、BPAにスペーサーを付けた化合物を3種合成し、それらをsepharose樹脂に共有結合させた我々独自のBPA-Affinityカラムを作成した。このBPA-Affinityカラムに結合し、BPAによって溶出されてきた蛋白質は、SDS-PAGE上、たった2本の蛋白質バンドとなった。このように、神経細胞の膜画分に含まれる、BPA受容体と考えられる蛋白質の精製に成功した。現在、この蛋白質がBPA受容体蛋白であることを確認するために、これらの蛋白質のアミノ酸N末の配列を解析すると共に、その情報からこの蛋白質のクローニングおよび異種細胞内発現を開始しようとしている。
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