2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13837010
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
村尾 忠廣 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (40024046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新美 成二 国際移調福祉大学, 保健学部, 教授 (00010273)
新山王 政和 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (10242893)
南 曜子 金城学院大学, 人間科学部, 教授 (10135395)
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Keywords | 裏声 / ジェンダー / 声域 / カウンターテナー / 歌唱教材 |
Research Abstract |
今年度の研究は2点。 第1は,主として沖縄民謡をとりあげて裏声を含めた発声の研究をおこなったこと。沖縄民謡をとりあげたのは,奄美諸島の民謡が男女ともに裏声を駆使するのに対し,沖縄では裏声を使用せず,そのため男女の斉唱ではオクターブ乖離したものになる,と言われてきたからである。この研究は村尾が企画し,新美が音声生理学的な分析をおこなった。被験者として村尾研究室の大学院学生(沖縄民謡の歌い手),およびプロの沖縄民謡歌手3名の協力を得た。その結果,これまでの先行研究の結果と異なり,沖縄民謡でも鼻腔共鳴を活用していること,裏声は女性が多く使用していること,沖縄の特徴的な発声と思われているものは,発声法よりも,節回しなど他の要因によるものであることが明らかになった。しかし,なぜ,本土や奄美諸島の民謡などと異なり,男女がオクターブ乖離して一緒に歌われるか,という点についての社会的・文化的な疑問は明らかにしえなかった。 第2は,今年度が最終年度にあたるため,昨年おこなった「裏声とジェンダーの国際シンポジウム」を日本語に翻訳し,これをもとに議論し,さらに編集,整理して報告書としてまとめることである。民族音楽学,音声生理学,社会音声学,音楽心理学,音楽教育学・・・といった多方面から国際的,学際的に「裏声とジェンダー」にアプローチしたことになり,報告書は画期的な内容と言えるだろう。
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