女性表象におけるジェンダー力学の歴史的研究―「毒婦物」の書誌学とテクスト分析―

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13837012
• Research Institution: Osaka University of Foreign Studies
• Principal Investigator: 平田 由美 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (60153326)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 成田 龍一 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (60189214)
• Keywords: 近代国民国家 / 国民文化 / ジェンダーと文学テクスト / 歴史と物語の叙述構造 / 歴史意識 / 「毒婦」と「ファム・ファタール」

Research Abstract

研究の初年度として、本年度は研究の基礎となるべき資料の調査・収集を中心に研究活動を行った。調査対象となったのは、国内では香川大学附属図書館所蔵「神原文庫」中の錦絵版画および錦絵新聞を主として、明治期新聞の一部について調査を行い、高知大学附属図書館所蔵「桜井文庫」中の日本文学および演劇関係史料、および「クレヴェリンガ氏旧蔵演劇史コレクション」中のアジア関係演劇史料の調査とを行い、また東北大学付属図書館の狩野文庫の近世資料調査を行った。国外では、コーネル大学附属オリン図書館所蔵の「前田文庫」のうち、幕末明治期文学書目および自筆書き入れ本の調査を行い、併せて本研究の海外研究協力者である同大学教授ブレット・ド・バリーと資料収集の方針と在米調査対象資料の検討など、研究の打ち合わせを行った。ニューヨークにおいては、コロンビア大学主催のシンポジウム「近代日本の歴史意識と身体」で研究発表を行い、討論に参加した。これら研究活動の結果、コロンビア大学東アジア図書館の「ドナルド・キーン文庫」に、未整理のものを含む多数の近世・近現代の日本文学関係資料があることが判明、図書館長から閲覧の許可を得ることができたが、具体的な調査は時間の関係上できなかった。これについては来年度の課題とすることになった。購入したマイクロフィッシュ資料のうち、毒婦物および逸脱的女性をヒロインとする近世読み物などの焼き付けを行い、上記における調査において収集された資料と合わせて、現在整理中である。

Research Products

• [Publications] 平田由美: "物語の社会空間-近代メディアと「毒婦」言説-"明治文学の雅と俗(岩波書店). 74-85 (2001)
• [Publications] 平田由美: "《議論する公衆》の登場-大衆的公共圏としての小新聞メディア-"岩波講座近代日本の文化史(岩波書店). 195-231 (2002)
• [Publications] 平田由美: "高橋お伝"歴史学事典9 法と秩序(弘文堂). 396 (2002)
• [Publications] 成田龍一: "時間の近代-国民=国家の時間"岩波講座近代日本の文化史3(岩波書店). 1-51 (2002)
• [Publications] 成田龍一: "安丸良夫『近代天皇像の形成"ナショナリズム論の名著50(平凡社). 420-428 (2002)
• [Publications] 成田龍一: "「国民の物語」のかたち"現代思想. 29巻9号. 170-182 (2001)
• [Publications] 成田龍一: "<歴史>はいかに語られるか"日本放送出版協会. 278 (2001)
• [Publications] 成田龍一: 校倉書房. 410 (2001)
• [Publications] 成田龍一(編): "20世紀日本の思想"作品社. 205 (2002)