2003 Fiscal Year Annual Research Report
南アフリカ共和国における女性の地位向上のための制度および女性政策の研究
Project/Area Number |
13837028
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
田中 和子 國學院大學, 法学部, 教授 (50146742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 ヒロ子 十文字学園女子大学, 社会情報学部, 教授 (60286119)
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Keywords | 女性政策機構 / ジェンダーの主流化 / ナショナルマシナリー / ジェンダー予想 / ジェンダー監査 / 女性政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1994年にマンデラ大統領が政権をとってから急激に進展し、女性の議会への進出度や効果的な予算分析、ジェンダー監査の実施などで国際的に評価の高い南アフリカ連邦(以下、「南ア」という。)における女性の地位向上のための制度について調査・研究し、日本の自治体における適用可能性についても検討することであった。 当該研究課題の研究計画の最終年度にあたる本年度は、昨年度実施した南アの女性政策機構ならびに女性の地位向上のために活動するNGOに対する現地調査結果の分析・検証を行い、その結果ならびにフォロー・アップを踏まえ、日本の政府及び地方自治体における女性政策機構強化のための南アモデルの適用可能性について検討をも加え、総括した。 南アの女性政策ナショナルマシナリーの制度的骨格をなすのは以下である。1)女性の地位室(OSW)-大統領府におかれ、国のジェンダー政策の枠組みづくり、各省庁間の女性政策の調整及びジェンダーの主流化推進の役割を担う。2)主要省庁のジェンダーフォーカルポイント(GEPs)-OSWと連携しながらそれぞれの省庁での施策や事業にジェンダー視点を導入し、ジェンダーの主流化をはかる。3)国会の女性の生活及び地位向上合同監査委員会(QoL)-諸立法にジェンダー視点を組み込み、女子差別撤廃条約、北京行動綱領等の政府による実施をモニターする。政府予算のジェンダー監査(「女性予算」)に着手したのもQoLである。4)ジェンダー平等委員会(CGE)-独立機関であり、国家、公共部門、私的部門におけるジェンダー平等の推進状況をモニターする。また、ジェンダーに関する苦情申し立てに対し、調査を行う。 これらのうち1)、2)、4)については2002年の現地調査において直接聞き取りを行ったが、各々の政府・省庁内等での位置づけ、人的資源、専門性、予算の確保、またこれらの相互間のコミュニケーション構造の確立等において問題を抱えている点も明らかになった。これらの問題の解決に向けて、現在、統合的調整フレームワークの模索が行われている。 地方自治体(本調査研究では西ケープ州とホウテン州を調査)においても、ナショナルマシナリーと同様枠組みの女性政策機構が存在するが、(自治体によりばらつきが見られるものの)概して国レベルにより未整備であるように見受けられる。 研究成果報告書では、これらの調査・研究結果についてのより詳細な報告を行うが、その際、日本、南ア両国の政治的伝統、地方自治制度、政治的機会構造、人的資源の配置構造等の相違点・共通点の分析を踏まえつつ、日本への南アモデルの導入がどのような条件、形において可能であるかについても考察したい。
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