2001 Fiscal Year Annual Research Report
「予算のジェンダー分析(gender budget)」をめぐる基礎的研究
Project/Area Number |
13837030
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
村松 安子 東京女子大学, 文理学部, 教授 (30086285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古沢 希代子 恵泉女学園大学, 人文学部, 助教授 (80308296)
織田 由紀子 アジア女性交流研究フォーラム研究ライン, 主任研究員
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Keywords | ジェンダー / ジェンダー分析 / 予算分析 / 女性予算 / ジェンダー予算 / ジェンダーの主流化 / 男女共同参画 / 開発 |
Research Abstract |
本年は次ぎの3点((1)ジェンダー予算をめぐる基礎的理論研究と世界でのその実践状況の概要調査、(2)北九州市および東チモールでの事例研究の予備調査、(3)日本のODA予算分析の第一歩)を実施した。得られた知見は下記の通りである。 ・「男女平等」という規範概念からする「公正」面から始まったジェンダー予算分析は、現在ではそれに加えて「経済効率」面からのアプローチが重視されており、分析概念としてのジェンダー予算が定着し始めている。世界で40カ国を超える国で実践されているが、この観点からすると、日本ではまだこの段階に到達しておらず、男女共同参画会議に設けられた影響調査委員会の「インパクト調査」が緒についたばかりである。 ・国連暫定行政下の東ティモールでは東ティモール人が独自に財政金融政策を含む経済政策を策定・実施する権限を持っていないが、国連は復興開発計画のなかに一定のジェンダー視点を組みこんではいる。しかし2001年の予算書の検討からは、UNTAIT主導による復興開発にジェンダーの主流化は認められず、いくつかの女性関連プロジェクトは存在するが,一般住民向けの「一般」費目にはジェンダーの視点は反映されていない。「女性分野」を超えたジェンダーニーズの補足に至っていない。 ・ODA予算を一括管理する体制が確立していない日本で包括的分析を実施するのは困難である。そこで外務省予算の一部である国際協力事業団(JICA)予算の中の「WID関連プロジェクト」を検討した。金額ベースではほぼ14%がこの分野に配分され、例えば「地域社会(コミュニティ)開発」がここに分類されている。問題は、これによって地域社会で生活する男女/社会諸階層がどのようなインパクトを受けたかであるが、この観点の評価が明示的に組みこまれていない。ジェンダーの主流化が待たれるところである。
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Research Products
(2 results)