2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13837037
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
宮地 尚子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 助教授 (60261054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 弘子 富士短期大学, 経済学部, 助教授 (70234995)
湊 博昭 一橋大学, 保健管理センター, 所長 (80114669)
関 啓子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20107155)
高橋 涼子 金沢大学, 法学部, 助教授 (80262541)
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Keywords | ジェンダー / 心的外傷 / 精神障害 / トラウマ |
Research Abstract |
本年度は、文献研究、事例研究を継続して行うととともに、抽出されたテーマに沿って分析を深め、論文執筆、学会発表などを行った。以下の3人が研究協力者として加わった。 大矢 大 関西記念病院 院長 精神医学 博士(医学) 稲川美也子 国立療養所天竜病院 精神科医長 児童思春期精神医学 医学士 紀平省悟 済生会有田病院 小児科部長 小児神経学・小児心身医学 医学士 ・随時メーリングリストで情報交換をおこなった。 ・インドネシア・バリ島を訪れ、ウダヤナ大学のスルヤニ教授の協力を得て、性やジェンダーに基づくトラウマの被害者へのシャーマニズム的アプローチや共同体的アブローチに関する視察をおこなった。 ・研究協力者の勤務する精神科病棟を視察、虐待被害者、性暴力被害者の治療に関して事例分析をすすめた。特にPTSDにおける外傷の再演や行動化の内容の性差、ドメスティックバイオレンスと児童虐待が重なる場合の患者・家族の性別役割規範や支配関係、性的被害者がもつセクシユアリティ観、強姦神話の影響、解離性障害における症状や回復プロセスの性差、治療者が自明としているジェンダー規範などを分析した。 ・第2回日本トラウマティックストレス学会にて「ジェンダーとトラウマ」というシンポジウムを開き、4つの発表と討論を行った。それにあわせて共同研究会議を開き、ジェンダーとトラウマについての概論作成、事例報告とさらなる討議、文献紹介を行った。 ・性暴力被害とPTSDにの法的救済のありかたを法のジェンダーバイアスと関連づけて分析し、論文にまとめた。 ・女性のメンタルヘルスについて、とくにトラウマ治療の観点から分析し論文にまとめた。 ・外傷性精神障害の一つである解離性障害(多重人格性障害)の当事者の手記をまとめた米国の書籍の監訳を行った。今後その内容についてもジェンダー分析を行う予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 宮地 尚子: "女性のメンタルヘルス"モダン・フィジシャン. 22.10. 1240-1244 (2002)
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[Publications] MIYAJI, Naoko: "Shifting identities and transcultural psychiatry"Transcultural Psychiatry. 39.2. 173-195 (2002)
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[Publications] 宮地 尚子: "PTSD概念をどう法は受け止めるべきか?"ジュリスト. 1227. 2-5 (2002)
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[Publications] 宮地 尚子: "性暴力とPTSD"ジュリスト. 1237. 156-173 (2003)
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[Publications] 宮地 尚子: "トラウマの医療人類学6:トラウマの演出と証言の真実らしさ"こころの臨床アラカルト. 21.4. 509-513 (2002)
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[Publications] 宮地 尚子: "トラウマの医療人類学3:加害者の恐怖"こころの臨床アラカルト. 21.1. 116-120 (2002)
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[Publications] ベリー・コーエン他, 宮地尚子監訳: "多重人格者の心の内側の世界"作品社. 363 (2003)