2002 Fiscal Year Annual Research Report
在村医のカルテからみた女性の出産と身体観―近世から近代への展開を中心に―
Project/Area Number |
13837041
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Research Institution | Junsei Junior College |
Principal Investigator |
沢山 美果子 順正短期大学, 幼児教育科, 教授 (10154155)
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Keywords | 女性 / 出産 / 身体観 / 近世 / 近代 / 身体史 / ジェンダー |
Research Abstract |
本研究の目的の一つは、近年の性と生殖に関する研究の中でも、まだ未開拓の領域である近代初頭の農村の出産と身体観について、在村女医のカルテを手がかりに明らかにすること、二つには、近世後期の在村医のカルテとの比較により、近世から近代への展開を明らかにすることにある。そのため、昨年度は、近世から近代への女性の身体の位置と出産と身体観をめぐる全体の見取り図を描く作業をおこない、その成果は、「妊娠・出産・子育て-歴史人口学と社会史の対話」(『人類史の中の人口と家族』所収)「<産む>身体観の歴史的形成」(『ジェンダーと教育』所収)として刊行された。本年度は、この見取り図をふまえたうえで、カルテという、個別の女性たちに迫ることのできる史料の解読と分析に重点を置いて研究を進めた。その結果、カルテの解読を八割終えるとともに、その初期のものについての分析を行い、カルテという史料が語るものと語らないものに留意をしながら、特に女性たちの産や月経など産婦人科をめぐる医療の状況、処方が示す身体観、女性たちの医療環境、医者と患者の関係などについて考察をした。さらに、カルテの分析結果を、県や郡に提出された患者届書控え、「死亡届」「流産届」や患者からの手紙と付き合わせることで、身体観、胎児観についても考察を進めた。また、これらの結果を、近世後期の在村医のカルテと比較し、「在村医のカルテが語る女のからだ-近世から近代への展開を中心に-」として原稿にまとめた。(『身体と医療の比較社会史』(共著)昭和堂、2003年9月刊行予定)
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Research Products
(1 results)