2003 Fiscal Year Annual Research Report
在村医のカルテからみた女性の出産と身体観―近世から近代への展開を中心に―
Project/Area Number |
13837041
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Research Institution | JUNSEI JUNIOR COLLEGE |
Principal Investigator |
沢山 美果子 順正短期大学, 幼児教育科, 教授 (10154155)
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Keywords | 女医 / 診察記録 / 医療 / 身体観 / 生命観 / 出産 / 近世 / 近代 |
Research Abstract |
平成15年度は、科学研究費補助金による本研究の最終年度にあたるため、研究報告書の作成に向けて、様々な場で研究発表をおこない、そこでの批判をもとに、研究成果をまとめることに力を注いだ。 まず、平成13、14年度の研究成果をもとに、『叢書・比較教育社会史 身体と医療の教育社会史』に、「在村医の診察記録が語る女の身体-日本における近世から近代への展開-」と題する論文を発表し、本研究で主たる史料として用いている在村女医、光後玉江の診察記録からどのような女性の身体の状況が読み取れるかを考察した。 さらに、その成果の一部を比較家族史学会第44回ジンポジウム「性・生殖と家族」(2003年10月)、光後玉江の史料所蔵者である興禅寺での光後玉江没後100年記念講演(2003年11月)で報告し、本研究をより広く性と生殖の問題や、光後玉江が診療活動を行った地域の中に位置づけて分析する視点を得た。 また光後玉江自身に関する文書史料は限られていることもあり、本年度は、光後玉江のご子孫への聞き取り調査や光後玉江の診察地域についてのフィールドワークも行い、文書史料からは浮かび上がらない情報、とくに光後玉江没後の地元での評価や伝承について、貴重な情報を得ることができた。 さらにこれらの報告で得た視点をもとに、光後玉江の診察記録「処剤録」のデータベース化と,出産や診察地域のデータの最終分析を行い、1500件に及ぶデータをもとに、「処剤録」から、女性の身体観や生命観をめぐって、どのような時系列的な変化が読み取れるかを分析した。その成果については、岡山地方史研究会例会(2004年1月)で報告し、特に、近代初頭の女性の身体観を分析する上で、重要な子宮をめぐる病の位置づけについて様々な示唆を得た。なお、以上の成果をもとに、理論編、史料編の二部からなる研究報告書(総ページ数、130頁)を作成し、本研究の関係者、機関に送付した。
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Research Products
(1 results)