2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13838006
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
湯浅 晶 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (10109499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 隆信 岐阜大学, 工学部, 助教授 (00184755)
篠田 成郎 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (80187369)
松井 佳彦 岐阜大学, 工学部, 教授 (00173790)
松下 拓 岐阜大学, 工学部, 助手 (30283401)
李 富生 岐阜大学, 工学部, 助手 (10332686)
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Keywords | 水田農薬 / 流域 / 流出モデル / シミュレーション / 農作業 / 不確実性 / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
水田使用農薬の流出予測にあたって,不確実なデータである農薬の散布場所や田植日,農薬の散布日,水管理日などの農作業に関するデータと農薬の生分解定数や吸着定数など特性値をある生起確率分布にしたがって個々の水田ごとに設定するモンテカルロ手法を用いて入力データを構築した. 解析対象流域は農薬濃度を週4〜5回と高頻度で観測している筑後川流域であり,濃度観測点より上流側を計算対象とした.流域を縦横1km×1kmのメッシュに分割し,各メッシュを13個に区切ったコンパートメントモデルを適用し,コンパートメント間にて農薬原体の移動と,その輸送媒体である水分の移動を表現した.水分移動に関するモデルパラメータは,流量観測点での流量と計算値を比較して最適値を決定した.解析対象農薬は除草剤のジメタメトリン,チオベンカルブ,ピリブチカルブ,プレチラクロール,ブロモブチド,メフェナセットの6種類であり,期間は1999〜2000年である. 農薬は降雨時に高い濃度を示すが,晴天時においても低い濃度ながら農薬は流出し,連続的に農薬が観測されている.従来の均一入力計算ではこのような現象が再現されないが,ジメタメトリンを除く5種類の農薬ではモンテカルロ入力計算により農薬流出濃度が良く再現された.ジメタメトリンの場合には濃度の観測値に比べて予測値が大きく下回った.これは,ジメタメトリンの流域内への年間出荷量よりも河川への流出量の方が多いためであり,実際にはより多量の農薬が使用されたためと考えられる. また,ジメタメトリンを除く5種類の農薬の流出についての計算を100回行った中で,均一入力計算では観測値との差が1桁以上となる低精度の結果が約50%あったのに対して,モンテカルロ入力計算では約20%となり,モンテカルロ入力計算の予測の方が格段にすぐれていることが示された.
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