2003 Fiscal Year Annual Research Report
水素・酸素同位体比を用いた大気中の水循環システムの解析
Project/Area Number |
13838008
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
平田 健正 和歌山大学, システム工学部, 教授 (30093454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 正秀 和歌山大学, システム工学部, 助手 (50324992)
江種 伸之 和歌山大学, システム工学部, 助教授 (00283961)
井伊 博行 和歌山大学, システム工学部, 教授 (60283959)
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Keywords | 酸素安定同位体 / 水素安定同位体 / 降雨システム / 紀伊半島 / 雨水 / 渓流水 / 水蒸気 / 同位体分別 |
Research Abstract |
1.調査概要 紀伊半島全域における渓流水の採水を全163箇所において実施し,渓流水の水素・酸素安定同位体比の空間分布特性を調査した.また,和歌山市においで渓流水を継続的に採水し,水素・酸素安定同位体比の時間変動・季節変動を調査した. 2.研究業績の要約 本研究では,渓流水の水素・酸素同位体比を分析し,その空間分布特性から緯度効果,内陸効果,高度効果,雨陰効果,雨量効果の影響について考察した.その結果,緯度,標高,海岸からの距離と同位体比との関係がみられたのに対して,降水量との関係はみられなかった. つぎに,同位体比分布に与える地形効果を定量的に明らかにするために重回帰分析を行った.その結果、和歌山県の地表水の同位体分布に影響を与える効果として,緯度効果の影響が最も強いことが明らかとなった.しかし,線形回帰式だけでは同位体分布を説明できないことが明らかとなった.そこで,降水過程などの気象データを考慮した解析を実施した。 その結果,降雨特性に関して,降水同時発生率を用いて紀伊半島の降雨特性の分類(zone分け)を行い,各zoneにおいて同位体比の特性を考察し,同位体比の空間分布が降雨特性と関連があることを明らかにした.さらに,領域内で最も早く降水が観測される場所を決定する解析方法(early-dropped rainwater analysis)を新たに提案し,レイリー過程に基づく同位体分別過程により,同位体比の空間分布特性の説明を行った.その結果,総観規模の擾乱により,紀伊半島南西部地域では同位体分布が重くなり,降雨時間間隔の短い集中的な降雨特性により,半島東部において同位体比が重くなることが明らかとなった.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 石塚正秀: "紀伊半島における地表水の安定同位体比の空間分布と降雨-地形特性との関係"土木学会水工学論文. 48. 235-240 (2004)
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[Publications] 石塚正秀: "地表水の安定同位体比の空間分布に与える地形効果の解明-重回帰分析を用いた検討-"土木学会水工学論文. 47. 1045-1050 (2003)
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[Publications] Ii, H.: "Nitrogen contamination from fertilizer in tea plnataion, Kiku River basin,"Groundwater Engineering. 335-341 (2003)
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[Publications] 平田健正: "土壌汚染対策の技術開発の現状と課題"空気清浄. 41・4. 258-265 (2003)
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[Publications] 平田健正: "土壌・地下水中における有機化学物質の動態と修復技術"安全工学. 42・6. 401-408 (2003)
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[Publications] 江種伸之: "土地利用の異なる隣接した二流域での河川水質特性"土木学会水工学論文. 48. 1471-1476 (2004)