2001 Fiscal Year Annual Research Report
流域生態系水循環モデルと水質源管理システムに関する研究
Project/Area Number |
13838012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小川 滋 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30037973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 恭一 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (80183763)
柳 哲雄 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70036490)
神野 健二 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80038025)
久米 篤 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (20325492)
熊谷 朝臣 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (50304770)
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Keywords | 水循環 / 森林水文学 / L-Q式 / 洪水 / 懸濁 / 富栄養化 / 窒素 / リン |
Research Abstract |
閉鎖系水域への,森林からの栄養塩負荷の影響を明らかにするために,閉鎖性水域富栄養化の主な原因物質である窒素とリンに主眼を置き、不連続な水質データを基に導いたL-Q式を用いて窒素、リンおよび炭素の森林域からの日流出負荷量を見積もった。また,樹冠による降雨遮断量(佐藤他2002),樹冠からの蒸発散の影響を定量化した(Haga2002). 試験流域のひとつである御手洗水流域は、福岡市の東方約15kmに位置する流域面積約9.5haの山地小流域である。流域内の河道沿いはヒノキの人工林で被われている。本年度はこの流域の集水地点に量水堰を設け、水位観測を行い,流出水をサンプリングして水質分析を行った。降雨時のサンプリングは自動採水器(ISC06712)を使って一時間毎に連続採水した。林外2点に気象測器および林外雨採取用タンクを、林内に雨量計および林内雨採取用タンクを設置して総合的なモタリングを行った。T-N(全窒素)、T-p(全リン)DOC(溶存性有機態炭素)を分析した。また一時間毎の連続した計24個の試料水については、SS(懸濁物質)、DTN(溶存態窒素)、PTN(懸濁態窒素)、DTP(溶存態リン>、PTP(懸濁態リン)も分析した。 懸濁態成分の流出は洪水時に集中して大量発生し、故に成分の大半が懸濁態であるT-Pはその主な流出が洪水時に集中することが考えられた。特に、ピーク流量時においては、PTN(懸濁態窒素)、PTP(懸濁態リン)ともに大量の流出があるものと考えられる。森林域における年間の栄養塩の流出負荷量を見積もるには、洪水流出時の流出負荷量を如何に精度良く推定するかにかかっている。しかし、本研究において、懸濁態成分を含んだ項目(T-N、T-P、TOCなど)は、ピーク流量時の流出負荷量がL-Q式では推定しがたいことが示唆された。したがって、多くの降雨イベントにおいて、細かい時間間隔で、それらの項目のピーク流量時付近の濃度変動を把握していく必要があること,さらに、洪水流出時の連続したサンプリングは欠くことができないことが判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 佐藤嘉展, 大槻恭一, 小川滋: "マテバシイ林における年間樹冠遮断量の推定"九洲大学演習林報告. 83. 15-30 (2002)
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[Publications] Haga H., Otsuki K., Ogawa S.: "Preliminary analysis of effects of evapotranspiration distribution on streamflow generationin a steep headwater catchment"Bull. Kyushu Univ. For.. 83. 1-10 (2002)
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[Publications] Haga H., Ogawa S., Ebisu N.: "Long-term changes of the rainfall-runoff in the fire-damaged forest basin, Japan"International Symposium on Achievements of IHP V in Hydrological Research. 87-95 (2001)