2002 Fiscal Year Annual Research Report
DNA多型の保有機構およびDNA多型データの解析法に関する研究
Project/Area Number |
13839005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田嶋 文生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30183065)
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Keywords | DNA多型 / 自然選択 / 突然変異 / 分集団 / 移住 |
Research Abstract |
本研究の目的は、DNA多型の保有機構の解明である。本年度は集団(種)が分集団化したとき、DNA多型量および固定確率に及ぼす影響について理論的に考察した。自然選択が働いていないとき、すなわち中立の時は、すでに知られている。ここでは、自然選択が働いているときのDNA多型量と固定確率を求めた。まず拡散近似法を用いて解くことを試みた。しかし、厳密には、解けなかったが、近似解を求めることができた。この近似解の精度を、コンピュータ・シミュレーションによって確かめたところ、分集団間の移住率が高いときは良い近似解であるが、分集団間の移住率が低いと余り良い近似ではないことが分かった。分集団間の移住率が低いときの近似として、Birth-Death過程を用いたところ、良い近似解を得た。 分集団間の移住率が低いときはBirth-Death過程から得られた近似解を、分集団間の移住率が低いときは拡散近似法から得られた近似解を用いて、数値計算したところ、以下の結果を得た。(1)DNA多型量は分集団間の移住率が低いほど高い。これは、集団の有効な大きさが、分集団間の移住率が低いほど大きくなることによると考えられる。(2)固定確率は分集団間の移住率の影響をそれほど受けない。(2)しかし、優性の度合いの影響を受ける。すなわち、固定確率は突然変異が優性か劣性かにより、その効果が異なっていることを意味している。 以上の結果は、島モデルという分集団モデルを用いて得られた。今後、他のモデルでも同様の結果が得られるかどうか調べる予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] INNAN, Hideki: "A statisfical test for the difference in the amount of DNA variation between two populations"Genetical Reseach. 80. 15-25 (2002)
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[Publications] TESHIMA, Kosuke, M: "The effect of migration during the divergence"Theoretical Population Biology. 62. 81-95 (2002)