2001 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子井戸構造におけるTHz音響フォノンを用いた電子波動関数の可視化とその応用
Project/Area Number |
13852006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 理 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30239024)
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Keywords | 半導体量子井戸構造 / 電子波動関数 / ポンププローブ分光 / サブTHz音響フォノン / 電子格子相互作用 / 超高速現象 |
Research Abstract |
本研究は、半導体量子井戸中の電子波動関数の深さ方向への空間的形状を、電子と相互作用する音響フォノンを介して可視化することを目的としている。電子波動関数の可視化は、物理学的見地から興味深いことに加えて、不純物のドーブや外部電場位印加による波動関数への影響を直接観測できることからデバイス開発などの工業的な応用も期待される。今年度は主として以下の研究を行った。 井戸幅層2〜10mm程度のGaAs/Al_<0.3>GA_<0.7>As二重または三重量子井戸構造をMOCVD法により作製した。Ti-サファイアモードロックレーザーによって発生されるフェムト〜ピコ秒の時間幅を持つ光パルスを用いて、量子井戸試料についてポンププローブ法による過渡的吸収測定を行った。実験結果から次のような知見を得た。(1)量子井戸に吸収された光パルスによって発生されたサブTHz振動数成分を持つ音響フォノンパルスの伝搬を干渉検出系によって明確に捉えることができた。検出は音響フォノンパルスによる試料表面の変位を計測することで行われ、検出感度は1pm以下である。(2)井戸層の異なる量子井戸構造について、励起光の波長を変化させることによって選択的に音響フォノンパルスを励起できることが示された。(3)検出された信号を、光弾性効果と試料表面変位を考慮したモデルによって解析し、波動関数の空間的拡がりに関する情報が得られることを示した。 その他に関連する研究として、光学定数が不均一に変調された多層薄膜構造による光散乱理論の構築、音響フォノンを用いた半導体中のキャリア拡散の検出などの研究を行った。
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Research Products
(1 results)