2004 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子井戸におけるTHz音響フォノンを用いた電子波動関数の可視化とその応用
Project/Area Number |
13852006
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
WRIGHT B.Oliver 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90281790)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 理 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30239024)
友田 基信 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30344485)
|
Keywords | 半導体量子井戸構造 / 電子波動関数 / ポンププローブ分光 / サブTHz音響フォノン / 電子格子相互作用 / 超高速現象 / 不均一多層膜 / ピコ秒レーザー音響法 |
Research Abstract |
本研究は、半導体量子井戸中の電子波動関数の深さ方向への空間的形状を、電子と相互作用する音響フォノンを介して可視化することを目的としている。電子波動関数の可視化は、物理学的見地から興味深いことに加えて、不純物のドープや外部電場印加による波動関数形状への影響を直接観測できることからデバイス開発などの工業的な応用も期待される。今年度は主として以下の研究を行った。 前年度に行った井戸幅層2〜10nm程度のGaAs/Al_<0.3>Ga_<0.7>As三重量子井戸構造についての測定結果についての定量的な解析を行った。この解析は、量子井戸中の光励起音響フォノン生成過程の量子理論および多層薄膜を伝播する音響波による光反射率変調の理論に基づくもので、これにより試料の様々な物理パラメータを定量的に求めた。結果はPhysical Review B誌に投稿し、現在印刷中である。これらの解析結果から、波動関数可視化により適した構造を持つ試料を作製し、現在測定を行っている。 また、波動関数形状に関する更に精密な知見を得るためには、生成された音響フォノンパルスによる試料表面変位を光音響効果とは分離して測定する必要がある。この目的のために、プローブ光を試料に斜め入射する干渉光学系による方法を前年度に開発した。この干渉系を用いることにより、光音響効果の影響を完全に排除して表面変異のみを直接検出できる。今年度はこの原理に基づく実際の測定と予備的な解析を行い、良好な結果が得られた。この技法は、本研究以外にも広範な応用が期待される。
|
Research Products
(3 results)