2005 Fiscal Year Annual Research Report
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13853002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00188674)
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Keywords | 蛋白質拡散 / 反応ダイナミクス / 分子間相互作用 / 蛋白質折りたたみ反応 / 過渡回折格子法 |
Research Abstract |
構造揺らぎに対しては古典的熱力学測定が非常に重要であるにも関わらず、短時間だけ存在する過渡種に対してはこの従来の手法は無力であった。ここでは時間分解熱力学量測定の手法を発展させ、蛋白質反応に対して、幅広い時間スケールでエネルギーと高次の構造変化を追跡し、物理化学の視点からその構造やエネルギー変化と機能との関連について明らかにした。 特に、高速でのエネルギー変化と音波発生を捕らえる手法を開発し、フェムト秒パルスを集光したときに起こる温度上昇と構造変化過程をサブピコ秒の時間分解能で検出することに成功した。また、蛋白質の構造を反映する拡散係数に注目し、その時間変化を調べることで蛋白質の高次構造変化を検出する新しい手法を開発した。これを用いて蛋白質の折りたたみ過程の遷移状態における分子間相互作用の時間変化を検討した。具体的には、チトクロムcの折りたたみ過程の遷移状態を、拡散係数変化速度の変性剤濃度依存性と温度依存性を測定することにより調べた。拡散係数変化と局所的構造変化速度定数には、1桁以上の違いが見られ、まず水素結合ネットワークの組み換えがおこり、α-ヘリックスの主な部分が完成すると説明された。興味深いことに、この両者で遷移状態がほぼ同じ性質を持っていることが明らかとなり、蛋白質ダイナミクスを引き起こす共通で基本的な遷移状態が存在する可能性を明らかにした。水分子との水素結合ネットワークの組み換えも考えた、新たなモデルを作る必要があると思われる。また、光感受性蛋白質としてフォトトロピンを用い、パルスレーザー誘起の過渡回折格子(TG)法を用いて、分子の拡散過程を速い時間分解能で捕らえた。
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Research Products
(6 results)