2005 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的炭素ラジカル生成法の創出と合成反応への新展開
Project/Area Number |
13853008
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
石井 康敬 関西大学, 工学部, 教授 (50067675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 聡 関西大学, 工学部, 専任講師 (50278602)
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Keywords | N-ヒドロキシフタルイミド / 分子状酸素 / 触媒 / 酸化反応 / 炭化水素 / アルキルラジカル / ヒドロペルオキシド / グリーンケミストリー |
Research Abstract |
フェノールおよびナフトール誘導体は合成樹脂や液晶性ポリマーなどの原料等に利用され、今後さらなる需要の拡大が見込まれている重要な化合物である。シクロヘキシルベンゼンにN-ヒドロキシフタルイミド(NHPI)を加え、無溶媒条件下、100℃、3時間酸化し、生成したヒドロペルオキシドを硫酸処理することで、選択的にフェノールおよびシクロヘキサノンが生成した。従来のクメン法ではアセトンが副生するがフェノール合成によるアセトンは供給過剰であると云われている。それに対し、本反応は工業的に重要な中間体であるフェノールとシクロヘキサノンを同時に生成するためより有用な反応に思われる。また、NHPIを触媒に用いた1,3,5-トリイソプロピルベンゼンの酸素酸化反応について系統的に検討した。その結果、NHPIおよびAIBN存在下、1,3,5-トリイソプロピルベンゼンを75℃で酸化し、生成したヒドロペルオキシドを硫酸、続いて無水酢酸で処理することで、5-アセトキシ-1,3-ジイソプロピルベンゼンおよび3,5-ジアセトキシ-1-イソプロピルベンゼンが主生成物として得られた。 Mn(III)に代表される一電子酸化剤を用いた活性メチレンからの炭素ラジカルの生成と、その不飽和結合への付加反応は、炭素-炭素結合を形成する手法としてよく知られている。しかし、反応には化学量論量以上のMn(III)種を必要とし、触媒的な反応が達成された例はほとんどない。本研究では、触媒量のMn(OAc)_2とCo(OAc)_2存在下、酸素/窒素=0.1/0.9atm雰囲気のもとシアノ酢酸エチルと1-オクテンの反応を酢酸カリウムを添加して行ったところ、室温(25℃)で反応が良好に進行し、n-オクチルシアノ酢酸エチルが得られた。また、アセトンとノルボルネンの反応でも酢酸カリウムを添加することで効率よく反応が進行することが明らかになった。
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Research Products
(7 results)