Research Abstract |
日本の動物相の起源と系統進化を解明するために収集された日本の陸生および海生の代表的動物種とそのアジアにおける近縁種の分子系統解析を中心に研究を進めた.陸生動物では,哺乳類のツキノワグマ,ニホンジカ,イノシシ類,は虫類としては,マムシ類,ハブ類,両生類としてはイモリ類,魚類のオヤニラミ類,軟体動物のカワニナ類を,また海生動物では哺乳類のカマイルカ類,軟体動物のカキ類,アカガイ類,カサガイ類,アワビ類,ウミニナ類の分子系統解析を重点的に行った.系統解析が進んだニホンジカをはじめとした5分類群については論文をとりまとめた.海生軟体動物のカサガイ類については,その分子系統進化について国際誌上で公表した.また,琉球列島の固有生物相の起源を解明するために下部および中部更新統の含脊椎動物化石層の発掘を昨年度に引き続き行い,現生種の祖先種を含む多様な化石動物群の分類学的検討をすすめ,陸ガメについては最初の論文としてとりまとめた.また,本州で発掘を実施してきた上部更新統の哺乳類化石群について,その一部を論文として公表した.日本の脊椎動物相の起源を究明するため,中国科学院古脊椎古人類研究所,ロシア科学アカデミー極東支部,フィリピン大学などの研究者とアジアの哺乳類の系統学的研究を共同で実施し,日本の在来種との比較を行った.その結果、日本のツキノワグマ類、及び沿海州のニホンジカにそれぞれ現存1新亜種を認めたほか、日本の化石シカ類に2新属2新種を認め、分類学的記載を進めた。
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