2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインチップ用抗体Fv迅速選択・生産技術の開発
Project/Area Number |
13854003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長棟 輝行 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20124373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 宏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (60232758)
新海 政重 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70262889)
河原 正浩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50345097)
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Keywords | 抗体 / 受容体 / ライブラリー / 抗体生産 / プロテインチップ |
Research Abstract |
既往の研究において、エリスロポエチン受容体(EpoR)のEpo結合ドメインを抗フルオレセイン(Fl)抗体のScFvで置換し、その細胞内ドメインをIL-6受容体β鎖であるgp130で置換したキメラ受容体(ScFv-gp130)が、抗原であるFl標識BSA(BSA-Fl)、もしくはFl dimerに応答して増殖シグナルを伝達することを示した。しかし、目的抗原が存在しなくてもある程度増殖シグナルが伝達されてしまったことから、ライブラリー選択は困難であることが予想された。 この原因として、キメラ受容体が抗原非存在下でもダイマー化し、シグナル伝達が生じやすいコンフォメーションをとっていることが考えられた。そこで本年度は、抗原存在下でのみ増殖シグナルを伝達するキメラ受容体を作製することを目指し、(1)受容体の相互作用に重要な役割を果たす膜貫通部位に変異を加えて相互作用を弱める、(2)膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの境界領域に存在するαヘリックス中にAla残基を1〜4個挿入して細胞内ドメインを回転させ、受容体のコンフォメーションを変化させる、(3)これまで削除していたEpoRのEpo結合ドメイン(D1)がシグナル伝達のOFFに寄与する可能性が示唆されたため、キメラ受容体に組み込む、(4)逆に今まで付加してきたEpoR細胞外D2ドメインを削除する、の4点について検討を行った。なお、(1)の膜貫通部位としてはEpoRを用い、そのロイシンジッパーを形成するアミノ酸部分に変異を加えたものを作製し(LL→GP変異)、野生型膜貫通部位を用いたものと比較検討した。IL-3依存性Ba/F3細胞に各キメラ受容体遺伝子をレトロウイルスにより導入し、抗原非存在下もしくは存在下で選択培養した。その結果、膜貫通ドメインに変異は加えず、(3)でAla残基を1個挿入したキメラ受容体、および(4)のD2ドメインを削除したキメラ受容体において、抗原非存在下での増殖が顕著に抑えられ、抗原存在下での増殖シグナル伝達が確認された。以上のことから、キメラ受容体の各ドメインがシグナル伝達にある程度寄序しており、コンフォメーションを微調整することでより応答性の優れたキメラ受容体を構築できることが示唆された。今後は厳格な抗原依存性を示したキメラ受容体のScFv部分をライブラリー化し、目的抗原結合性抗体断片のスクリーニング系を構築していく予定である。
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Research Products
(7 results)