2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13854007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西原 真杉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90145673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 正寿 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70302594)
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Keywords | 視床下部 / エストロジェン / 転写制御 / 性分化 / グラニュリン / 性腺刺激ホルモン放出ホルモン / 黄体形成ホルモン / 性周期 |
Research Abstract |
性ステロイドは核内受容体と結合し、特定の遺伝子群の転写を活性化することによりその生理作用を発揮する。脳においては、発生過程の特定の時期(臨界期)に、雄ではアンドロジェンがエストロジェンへと代謝されて受容体と結合し、特定の遺伝子群が転写されることにより、その雄型への分化が起こる。一方、臨界期にエストロジェンの作用を免れて雌型へと分化した脳では、成熟後、エストロジェンによりやはり特定の遺伝子群の転写が起こり、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の一過的大量分泌(サージ)が誘起され、雌に特有の性周期が回帰する。さらに最近、エストロジェンが成熟期から老齢期における脳の退行性変化を抑制するなど、脳に対する保護作用をもつことが明らかとなってきた。本研究は、これら一連の性ステロイドの中枢作用の分子機構の解明を目指すものである。本年度には、特にエストロジェンの脳の保護作用について検討を行った。その結果、エストロジェンは成熟動物における海馬歯状回の神経前駆細胞の増殖や脳虚血後の回復を、少なくとも一部はグラニュリンを介して促進していることが示された。グラニュリンは我々がエストロジェンによる脳の性分化を仲介する因子として同定した成長因子であり、本年度の結果はエストロジェンによる脳の性分化と保護作用が分子メカニズムを共有することを示唆する極めて興味深いものである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Matsuwaki T, 他: "Glucocorticoid counteracts the suppressive effect of tumor necrosis factor-α on the surge of luteinizing hormone secretion in rats"J Endocrinol. (in press). (2004)
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[Publications] Yonehara K, 他: "Expression analysis of estrogen and androgen target genes in neonatal rat hypothalamus"J Reprod Dev. 49. 547-552 (2003)
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[Publications] Fujioka H, 他: "Generation of transgenic rats expressing enhanced green fluorescent protein in gonadotropin-releasing hormone neurons"J Reprod Dev. 49. 523-529 (2003)
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[Publications] Matsuwaki T, 他: "Glucocorticoid maintains pulsitile secretion of LH under infectious stress condition"Endocrinology. 144. 3477-3482 (2003)
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[Publications] Ishida M, 他: "Cloning and chromosomal localization of mouse 20a-hydroxysteroid dehydrogenase gene"J Reprod Dev. 49. 79-85 (2003)