2004 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素適応における寄生虫ミトコンドリア特異的呼吸酵素群の生理機能
Project/Area Number |
13854011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北 潔 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90134444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 繁春 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (80156504)
三芳 秀人 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20190829)
渡邊 洋一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90323568)
網野 比佐子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10323601)
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Keywords | ミトコンドリア / 複合体II / NADH-フアル酸還元系 / 回虫 / 寄生虫 / 結晶解析 / 低酸素適応 / HIF-1 |
Research Abstract |
寄生現象において、自由生活型の祖先から出発し、寄生生活に移行してからの進化の過程おいて宿主内の環境に適応し、宿主特異性や臓器特異性をそなえた種々の寄生虫が成立したと考えられる。この様な観点から我々は回虫などの寄生虫と宿主であるヒトのミトコンドリアを用いて酸素適応機構の解明を目的として研究を進めている。回虫で見い出したNADH-フマル酸還元系は多くの寄生虫に存在し、宿主体内の環境で中心的な役割を果している事が明らかになった。この系は複合体I(NADH-ユビキノン還元酵素)、ロドキノンおよび複合体II(ロドキノール-フマル酸還元酵素:RQFR)の3成分から構成され、NADHから最終電子受容体であるフマル酸への電子伝達を触媒している。その生理的意義は嫌気的グルコース分解系の最終ステップとして、無酸素下でも複合体Iの共役部位を駆動する事によりATPを合成できる点にある。そこで本研究ではNADH-フマル酸還元系の分子構築とその生理機能の特徴を明らかにする目的で、回虫成虫ミトコンドリアを用い、研究を進めている。本年度は 1)複合体II(RQFR)の分子構築と電子伝達機能を明らかにする目的でその結晶化を試みた。種々の精製法と検討した結果、ラウリルスークロースによる可溶化とそれに続くイオン交換クロマトグラフィーによって、極めて純度の高い精製標品を得る事ができた。これを用いて結晶化条件を検討した結果、2種の界面活性剤を混合する事によって3Åの解像度での解析が可能な結晶を得る事ができた。 2)生活環における呼吸酵素群の発現制御機構を明らかにする目的で、哺乳類の低酸素下での転写制御に関与しているHIF-1の回虫におけるホモログの検索を開始した。生物種間で保存されているアミノ酸配列に対する縮重プライマーを用いた、PCRからβサブユニットをクローニングする事ができた。興味深い事にこのサブユニットは受精卵では発現されていなかった。
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Research Products
(6 results)