2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13854017
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
天谷 雅行 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (90212563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 武二 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50051579)
田中 勝 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (40188339)
石河 晃 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (10202988)
小安 重夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90153684)
岩崎 利郎 東京農工大学, 獣医学部, 教授 (50262754)
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Keywords | 自己免疫 / 皮膚感染症 / 天疱瘡 / カドヘリン / デスモグレイン / 黄色ブドウ球菌 / 自己抗体 / モデルマウス |
Research Abstract |
本研究の目的は、皮膚を標的とする自己免疫性疾患である天疱瘡をモデル疾患として、自己免疫発症の機序を解明することである。18番染色体上に存在するDsg gene clusterの遺伝子解析の結果、既報告の3種のアイソタイプ(Dsg1,Dsg2,Dsg3)に加え、新たなDsg4が同定された。本年度は主に、天疱瘡におけるDsg4自己抗体の反応性および水疱形成における役割について検討した。ヒトDsg4組換え蛋白(hDsg4-His)を基質とした免疫沈降法の結果、抗Dsg1抗体を有する粘膜皮膚型尋常性天疱瘡血清ならびに落葉状天疱瘡血清の大部分がhDsg4-Hisと反応性を示した。一方、抗Dsg1抗体を持たない粘膜優位型尋常性天疱瘡血清はhDsg4-Hisを認識しなかった。さらに、抗Dsg1抗体をDsg1カラムにて除去すると、血清のDsg4との反応性は完全に消失した。一方、抗Dsg4抗体を除去しても、血清のDsg1との反応性に著変はなかった。以上の結果より、天疱瘡患者血清中にはDsg4のみを認識する自己抗体は存在せず、抗Dsg1抗体の一部がDsg4と交差反応することが示された。次に、免疫吸着法にて落葉状天疱瘡患者血清から抗Dsg4抗体を除去しても、新生仔マウスにおける水疱形成能を明らかに低下させることはなく、さらにアフィティー精製した抗Dsg4抗体は新生仔マウスに水疱を誘導することはなかった。従って、天疱瘡の血清中にはDsg4を認識するIgG自己抗体は存在するものの、抗Dsg1抗体の交叉反応によるものとであり、水疱形成に重要な役割はしていないことが考えられた。 今後、Dsg4は皮膚に加え毛嚢上皮にも発現していると報告されており、原因不明とされている脱毛症の自己抗原の一つである可能性もある。Dsg4ノックアウトマウスを用いた自己免疫性脱毛症モデルマウスを作成し、さらなるDsg4の機能解析をすすめることにより、自己免疫性脱毛症の病態解明につながり、新たな展開を生む可能性がある。
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Research Products
(6 results)