2003 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植における遺伝子治療による免疫抑制・免疫寛容誘導法の開発
Project/Area Number |
13854019
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 孟鳳 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (40333603)
古川 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (70292026)
松下 通明 北海道大学, 医学部, 教授 (20250425)
上出 利光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00160185)
嶋村 剛 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00333617)
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Keywords | Leflunomide / FK779 / 異種心移植 / 遺伝子治療 / AdCD40Ig / AdCTLA4Ig |
Research Abstract |
FK779はLeflunomideの誘導体(Malononitrilamide)でより半減期が短い新しいピリミジン系核酸代謝拮抗剤であり、その免疫抑制効果は細胞性免疫のほか、液性免疫を抑制するという特徴をもつ。Concordant異種心移植において見られるacute vascular rejectionには液性免疫の関与が示されているが、一定期間のFK779の投与によりこれを抑え、更にアデノウイルスベクターを用いてCTLA4Ig、CD40Igを遺伝子導入しAPCとT cell間のcostimulatoly pathwayをblockする方法でacute rejectionを抑えることができれば、より簡便な方法で長期生着を得ることが期待できる。 今回、我々は異種移植への遺伝子治療の応用を目的とし、Concordant異種心移植における、FK779とAdCTLA4Ig and/or AdCD40Igとの併用効果を検討した。Golden Syrianハムスターをドナー、LEWラットをレシピエントとし異所性心移植を行った。FK779は10mg/kgに調整し移植前日より一週間経口投与した。AdCTLA4Ig、AdCD40Igはそれぞれ移植直後および移植2日前にレシピエントの陰茎静脈より1x10^9 pfu単回投与した。各治療群でグラフト生着期間(中央値:MGS)を検討した。その結果、無治療群のMGSが3日、FK779単独投与群のMGSが8日であるのに対し、FK779にAdCTLA4Ig、AdCD40Igの両者を併用した群では100日以上の長期生着を見た。3剤併用群では、観察期間中を通して血中IgM抗体の上昇を認めなかった。また、組織学的にも血管内皮へのIgMの沈着を見なかった。FK779と遺伝子治療の併用はConcordant異種移植において有用であり、特にFK779、AdCTLA4Ig、AdCD40Ig3の3者の併用で著名な効果が得られた。
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