2004 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植における遺伝子治療による免疫抑制・免疫寛容誘導法の開発
Project/Area Number |
13854019
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上出 利光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00160185)
藤田 博美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60142931)
松下 通明 北海道大学, 医学部, 教授 (20250425)
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Keywords | 臓器移植 / 遺伝子治療 / 免疫抑制療法 / CTLA4Ig / CD40Ig / SDF-1 / HO-1 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
アデノウィルスベクターに組み込んだCTLA4IgとCD40Igによる遺伝子治療のハムスター-ラット異種心移植における治療効果と、これまでの研究で判明した肝以外の臓器移植における動脈硬化病変(慢性拒絶)の治療法、及びヒト抗CD40モノクローナル抗体のサル腎移植における効果を検討した。 (1)異種心移植モデルでは、抗体産生抑制作用を持つFK779の併用により長期のグラフト生着を得た。しかし全てのラットに動脈硬化病変が確認された。(2)移植臓器の動脈硬化の成因を検討する為に、マウスの動脈移植モデルを用いてdifferential displayで原因分子を追究した。その結果SDF-1とCXCR4の関与が示唆され、前者の抗体を用いる事により動脈硬化病変が制御された。(3)更に異種心移植モデルにprotective gene(HO-1)の遺伝子治療を追加したところ、長期生存例の動脈硬化病変が消失ないし著しく軽減した。(4)これまでの研究では、肝以外の臓器移植では免疫寛容が得られないことが判明している。従ってより安全な治療法を確立する為に、従来のカルシニュウリン抑制剤(CNI)との併用を検討した。副刺激シグナル制御による免疫寛容はCNI併用により破綻すると報告されている。しかしラット肝移植モデルを用いたpreliminary studyでは、これまでの遺伝子治療とタクロリムスの併用治療で、死因不明の一匹を除いて6匹中5匹が長期生存中で、遺伝子治療とCNIとの併用療法の可能性が示唆された。尚、後2者については現在研究続行中である。(5)最後に、臨床上遺伝子治療の安全性が危惧され、ヒト抗CD40モノクローナル抗体による免疫療法を、サルの腎移植モデルを用いて検討した。単剤治療により10頭全例90日以上生存し、1例は250日以上生存中である。臨床における抗体による免疫抑制療法の可能性が強く示唆された。
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Research Products
(2 results)