2005 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植における遺伝子治療による免疫抑制・免疫寛容誘導法の開発
Project/Area Number |
13854019
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上出 利光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00160185)
藤田 博美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60142931)
松下 通明 北海道大学, 医学部, 教授 (20250425)
古川 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (70292026)
嶋村 剛 北海道大学, 病院・助教授 (00333617)
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Keywords | costimulatory signal / NF-κB / DHMEQ / CD40 / anti-human monoclonal antibody / 4D11 / Kidney transplantation |
Research Abstract |
本研究において我々はアデノウィルスベクターを用いた遺伝子治療によりT細胞活性化・増殖に重要な複数の副刺激分子(第2シグナル)を制御した。中でもB7-CD28とCD40-CD154ブロックが有効であること、及び後者がより効果的であることを見出した。しかし本研究の遂行中に欧米で遺伝子治療による合併症例が報告されより安全な免疫抑制という観点から遺伝子治療の開発は断念せざるを得なかった。以上の如き経緯及び本研究の中間審査で示唆された事柄に基づき、(1)副刺激経路制御における分子免疫学的機構の解明、(2)抗ヒトCD40モノクローナル抗体のサル腎移植における免疫抑制効果を検討してきた。 T細胞増殖はカリシニュウリン経路によるIL-2の産生による。他方CD28やCD154のT細胞の活性化は長年不明であった。近年転写因子の一つであるNF-κBが重要な役割を果たしていることが知られてきた。我々は梅澤らが開発した低分子量のNF-κB阻害剤(DHMEQ)を用いて単独免疫抑制効果及びタクロリムスとの併用効果について検討した。その結果DHMEQは容量依存的にNF-κBの核内移行を阻害しIL-2やIFNの産生やT細胞増殖を抑制すること、タクロリムスとの併用で相乗効果を示すことが得られた。マウス心移植実験にてDHMEQ単独(20mg/kg,i.p.)で有意のグラフト生着効果を示した。更にcontrol 6日、DHMEQ単独16日、タクロリムス12日に比べ、両者併用治療よりグラフト生存は70日以上に延長した。 抗ヒトCD40モノクローナル抗体(4D11)のカニクイザル腎移植における研究は現在進行中である。10mg/kg、20mg/kg、40mg/kgの1ヶ月ないし2.5ヶ月投与により全例100日(最長375日)の生存が得られ、血栓症や感染症の合併症は見られなかった。又、10mg/kg、20mg/kgの移植後2週間以内の5回投与によるinduction治療では5頭中3頭は100日前後で拒絶されたが、維持療法では現在全例100日以上長期生存中で、4D11の臨床応用に対する可能性が強く示唆されている。
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Research Products
(2 results)