2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞内脂質結合蛋白質ファミリーの生理機能と病態
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13854023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 洋由 東京大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40167987)
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Keywords | α-TTP / SPF / Sec14 / ビタミンE / スクアレン / コレステロール / PUFA / C.elegans |
Research Abstract |
我々は先に、α-TTPがビタミンE(α-tocopherol)をリガンドし、先天性ビタミンE欠乏症の原因遺伝子であることを明らかにしてきた。ビタミンE欠乏状態では、女性が不妊になることから、α-TTPによる母体から胎児へのビタミンE供給が想定されていた。今回、我々はα-TTP特異的モノクローナル抗体を作製し、免疫組織染色を行った。この結果、α-TTPが子宮と胎盤に発現していること見出し、確かに、子宮、胎盤においてビタミンEが輸送されることを明らかにした。 SPF (Supernatant Protein Factor)は、コレステロール生合成経路の中間体であるスクアレンをリガンドとする可溶性蛋白質である。SPFはスクアレンエポキシダーゼ活性を促進するタンパク質として同定されたが、コレステロール生合成系酵素の転写促進作用を合わせ持つことが明らかになっている。我々は最近、SPFノックアウトマウスの作製に成功した。現在、ノックアウトマウスの解析を進めており、興味深い表現型を見出している。 α-TTPやSPFは、よく保存された脂質結合ドメイン(Sec14ドメイン)を有しているが、ヒトにはこのSec14ドメインを持つタンパク質が20種以上存在し、Sec14脂質輸送蛋白質ファミリーを形成している。我々は、このファミリー分子の生理機能およびリガンドとなる脂質分子を明らかにするため、遺伝学的解析の容易なC.elegansにおけるSec14脂質輸送蛋白質ファミリー(ltp-1〜15と命名)に着目し、解析を行っている。これまで、ltp-1、ltp-2、ltp-3、ltp-15の欠損変異体を作製し、各分子の発現を細胞レベルで特定している。このうち、上皮細胞に特異的に発現するltp-2の欠損変異体は、低温環境下で生育できない低温感受性を示すことが明らかになった。低温環境下では、物理的に膜の流動性が低下するが、生体は不飽和脂肪酸の量を増加させることによって流動性を上昇させると考えられている。ltp-2変異体の表現型は、高度不飽和脂肪酸(PUFA)を低下させると著しく増強されたことから、ltp-2がPUFAそのもの、あるいはPUFA含む脂質分子をリガンドとしている可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] D.E.Kaempf-Rotzoll et al.: "Human placental trophoblast cells alpha-tocopherol transfer protein"Placenta. (in press). (2003)
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[Publications] H.Koizumi et al.: "Targeted Disruption of Intracellular Type I PAF-Acetylhydrolase Catalytic Subunits Causes Severe Impairment in Spermatogenesis"J. Biol. Chem.. (in press). (2003)
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[Publications] T.M.McIntyre et al.: "Identification of an intracellular receptor forlysophosphatidic acid (LPA) : LPA is a transcellular PPAR gamma agonist"Proc. Natl. Acad. Sci.. 100. 131-136 (2003)
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[Publications] D.E.Kaempf-Rotzoll et al.: "α-Tocopherol transfer protein is expressed specifically at the implantation site of pregnant mouse uterus"Biol. Reprod.. 67. 599-604 (2002)
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[Publications] M.Umezu-Goto et al.: "Autotaxin has lysophospholipase D activity leading to tumor cell growth and motility by lysophosphatidic acid production"J. Cell Biol.. 158. 227-233 (2002)
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[Publications] H.Sonoda et al.: "A novel phosphatidic acid-selective phospholipase A_1 that produces lysophosphatidic acid.277,34254-34263"J. Biol. Chem.. 277. 34254-34263 (2002)