2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13871001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
手代木 陽 神戸市立工業高等専門学校, 一般科, 助教授 (80212059)
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Keywords | 蓋然性(確率) / 可能性 / 蓋然性の論理学 / 内的可能性 / 外的可能性 / 仮定的必然性 |
Research Abstract |
本年度の研究の目的は、18世紀ドイツ啓蒙主義哲学における数学的・統計的な「蓋然性」(確率)の哲学的基礎づけの可能性の探究にあった。この「蓋然性」を最初に見いだしたのはパスカルであると言われるが、その基礎づけを最初に試みたのはライプニッツである。ライプニッツは「蓋然性」を軸が存在する「可能性の程度」と解釈し、これを「一方が他方よりも優先される十分な理由がない場合には、両者は等可能的である」という「等確率」の公理によって基礎づけた。彼はこの「蓋然性」を、帰納推理において「仮説」が「証拠」によって支持される程度であるとも考え、これを推理計算する「蓋然性の論理学」を構想した。I.ハッキングによれば、「蓋然性の論理学」の最も優れた哲学的基礎はライプニッツの「可能的なものは現実存在を要求する」という形而上学思想にある。それによれば「可能性の程度」を意味する「蓋然性」は、可能的なものにおける内的・本質的な実在性の量に応じて規定される。これに対して、Chr. ヴォルフは可能性を、無矛盾性を意味する「内的可能性」と、外的原因による「この世界」における可能性を意味する「外的可能性」とに区別する。事物が存在する可能性は、事物の本質に矛盾しないという意味では「内的可能性」に属するが、その「可能性の程度」の差異が問題となるのは「外的可能性」においてである。ヴォルフは、「蓋然性」が「この世界」における外的・現実的原因との関係において規定される、と考え、ラィプニッツのように内的・本質的要因によって規定されるとは考えなかった。そのため「蓋然性の論理学」の構想からは後退したが、「蓋然性」を偶然性(仮定的必然性)を伴った「経験の可能性の程度」としたことによって、決定論の疑念から免れることができた、と言える。
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Research Products
(1 results)