2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13871010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 佳世 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (60239176)
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Keywords | ランダムネス / 隠れた秩序 / 規則性 / 美の法則 / 感性評価 / 印象評定 / 感性情報処理 / dnn |
Research Abstract |
人は必ずしも明確にできない手がかりをもとに、直感的にかなり正確な判断を下すことができる。暖昧情報に基づく直感的な処理を感性情報処理と考えるなら、ランダムネスの評価もそうした処理の1つであると思われる。実際、ランダムネスの程度(逆に言うと、規則性・秩序の程度)は快-不快の感情に関わり、芸術や美の理解に基礎を与えると言われている。一方、大脳での情報処理の最大の課題はランダムノイズからの信号の検出であり、ランダム情報の処理は感性の領域にとどまらず、すべての情報処理全般の根底をなす問題ともいえる 本研究では、感性的な指標がランダム度の評定に適応できるのではないかと考えて、視覚刺激の印象評定値とランダム度との関係を調べ、さらに、好まれるランダム度の観点から、芸術や景観への適応可能性を探り、ランダムネスの知覚及び美の法則に関する理論を得ることを目的とする。 本年度は、煉瓦積パターンを用いて、濃淡の不規則な分布をどの程度正確に捉えることができ、それはどのような評価次元に反映されるのか、好ましく思われるランダム度はどの程度なのかを、コントラスト、全体の色、パターン配置を変数に、SD法による感性評価を用いて検討した。また、ランダムネスを表現する指標として、Ginsburgの提案したDNNが適用できるのかも合わせて検討した。その結果、規則性の次元のみならず、評価性を含むすべての次元でランダム度の違いは正確に反映され、感性評価はランダム度に鋭敏であり、指標として十分に使用可能であることがわかった。また、DNNが刺激の記述指標になりうることも示された。しかし、同じDNN値をとりながらランダム度の印象の異なる刺激も作成可能であることがわかり、今後の検討課題となった。さらに、刺激提示の準拠枠の問題も浮かびあがってきた。これも興味深い問題であり、さらに検討を続けたい。
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