2001 Fiscal Year Annual Research Report
木地屋の定住化過程を事例とする近代日本の社会統合と集団の機能変化に関する研究
Project/Area Number |
13871033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
元濱 涼一郎 奈良大学, 社会学部, 教授 (60190972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 博道 帝塚山大学, 人文科学部, 助教授 (60195336)
上野 誠 奈良大学, 文学部, 助教授 (40248191)
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Keywords | 木地屋 / 氏子駈 / 移住と定住 / 職の神話 / 社会統合 |
Research Abstract |
本年度は、(I)木地屋に関して、その研究と研究史とをほぼ概括するに足る基本文献を確認し、また可能な範囲でこれを収集することを目的として、(一)柳田国男「史料としての伝説」に始まる、主要な木地屋関係文献を確認した。これに関しては、主に移住と定住の問題に焦点を当てて、その研究の現状を通観した。(二)木地屋に関しては、地方の史家、民俗研究者、また、こけし等の郷土玩具民芸の研究者、好事家などの手になる文献が基礎資料として重要であり、且つ現地でしか知られていない事例が多いという現状から、木地屋の足跡が調査され、確認されている複数の地域を、図書館を中心に現地調査・文献調査し、郷土資料を中心に検索、閲覧、複写し、また書籍を収集した。その範囲は、長野県、岐阜県、岡山県、兵庫県等である。この調査は、次年度にも継続する予定である。 (2)社会統合に関する社会学理論を、移民・移住に焦点を当ててこれを検討したが、その際、併せて木地屋の移住と定住の意義を明らかにするには、背景をなす日本社会とその変遷を、主に近世から近代国民国家形成への移行期である明治前期の日本社会の地域再編過程という文脈において検討することが不可欠であるとの認識に基づいて、主に歴史学(地理学を含む)文献を通観し、非定住民の定住化を分析するための分析枠組の検討を始めた。(3)木地屋の移住と定住の足跡を、歴史的、体系的に追跡することを可能にするため、収集した資料に基づいてデータベースを作成することとし、データ入力作業を開始した。既に現在の段階でも、一定の範囲では試行的追跡が可能な状態にある。この作業の有効性が確かめられたので、このデータベース化作業は次年度にも継続する予定である。
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