2001 Fiscal Year Annual Research Report
陸上運送人のレセプツム責任に関する近世ヨーロッパ裁判史料を素材とした実証的研究
Project/Area Number |
13872002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
野田 龍一 福岡大学, 法学部, 教授 (30156210)
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Keywords | レセプツム責任 / 近世ヨーロッパ私法史 / 前期普通法学 / 近世領邦の立法 / 法源論・法律解釈論 / 変則法と正規の法 / 国際研究者交流 / ドイツ |
Research Abstract |
1.レセプツム責任に関するローマ法源と近世ヨーロッパにおけるその解釈史: ローマ法源を考察し、17-18世紀の法学文献を渉猟した。レセプツム責任を陸上運送人については否定する学説・公的な陸上運送人に限り認める学説・公私を問わず陸上遅送人一般について認める学説が、ローマ法源解釈として鼎立していた。各学説は、バイエルン=マクシミリアン民法典・プロイセン一般ラント法・オーストリア一般民法典に採用された。以上につき、研究成果をまとめ、雑誌論文として発表した。 2.近世ヨーロッパにおける裁判例に見えるレセプツム責任認定の実相: 17世紀では、レセプツム責任を陸上運送人に否定する裁判例が優勢であった。18世紀になると公的な陸上運送人に限り認める裁判例が優勢となった。法源論・法律解釈論としては、変則法の拡張を否定する理諭から、公共の福祉のためにはその拡張を認める理論への推移が背景にあった。各領邦の立法も裁判例に影響を与えた。 3.近世ヨーロッパにおける法源論・法律解釈論の変遷: ヤン=シュレーダー教授を招聘して、法源論・法律解釈論に関する全国的研究会を、福岡大学で開催した。 4.18世紀各領邦(プロイセン・ザクセン)における個別立法: 調査できた18世紀のプロイセンおよびザクセンでは、公的な運送人の職責に関し、きわめて詳細な規則が個別立法によって定められた。裁判所は、レセプツム責任認否のさいに、こうした規則をもまた判断基準とした。 5.平成14年度における研究計画: 英米法のコモン=キャリアー論との比較をも念頭において、以上1-4につき、さらに有機的に研究する。
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Research Products
(1 results)