2001 Fiscal Year Annual Research Report
文化環境法体系確立のための予備的研究-文化財保護と都市計画の調和の実現を目指して-
Project/Area Number |
13872003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河野 俊行 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (80186626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 幸夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20159081)
角松 生史 九州大学, 大学院・法学研究院, 助教授 (90242049)
河内 宏 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (40037073)
北沢 猛 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (00292889)
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Keywords | 都市美観 / 文化的環境権 / 建築計画 / 連邦建設法 / 土地利用計画 / 財産権保障 |
Research Abstract |
「都市再生」が重要な政策課題となっている今日、都市は働く場ではなく再び居住する場となりつつある。都市の美観維持とそのための規制のあり方は文化的環境権の重要な柱にといえよう。そこで本年度はドイツにおける都市の美観規制についての調査を行った。その結果、以下のようなことがわかった。ドイツでは、憲法-連邦建築法-州建築法-市町村条例という制度枠組みがあること、その基本となる手法は建築計画Bauplanを提出して建築許可を得ることであり、その計画はさらに土地利用計画Flaechennutzungsplanと、建設計画Bebaungsplanに分類できること、これらを作るのは市町村であるが、これが作られたからといって土地の所有者は建物の建設が出来るわけではなく、あくまで後者の建設計画Bebauungsplanがつくられて初めて建設することができること、前者の土地利用計画が拘束するのは行政機関であり、一般市民を直接拘束するのは後者であること、いわば前者は行政プログラムと理解するのがベストであり、後者は一般市民を拘束するので公法規範である、ということ等である。しかし実務では、都市の美観維持のために、連邦建築法36条に基づき「周囲との調和をはかる」ことを特に要求している規定が重要であり、これを現実かつ具体的に判断する建築許可担当官の判断の幅が現実には重要なポイントとなってくることもわかった。またこれとの関係で、所有権の理解がどうなっているか、とくに建築自由と財産権保障の緊張関係をどう調和させるか、も我が国とは相当異なることがわかった。次年度は米国における法的枠組みの検討を進めようと考えている。
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