2001 Fiscal Year Annual Research Report
独立行政法人財務会計・監査制度の地方自治体予算会計及び政策評価に対する実践的応用
Project/Area Number |
13873009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮脇 淳 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50281770)
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Keywords | 独立行政法人 / 地方自治体 / 公会計 / 政策評価 / ライフサイクルコスト / 機会費用 |
Research Abstract |
研究活動初年度である平成13年度は、地方自治体の財務と予算編成並びに政策評価の実態調査と制度設計に参画することで、計画、執行、評価の関係を一体化する独立行政法人制度が地方自治体の如何なる領域に実践的に適用可能であるかの基礎的検討を行った。 具体的には、北海道ニセコ町をはじめとして地方財務への企業会計的手法や機会費用等組み込みを試行すると同時に、国の独立行政法人評価や北海道庁、岩手県、北海道北見市、江別市等の評価システムの実践的課題とコスト的認識の仕組みの検討、予算編成制度への反映方法の検討等を行った。その結果、第一に公的会計の予算執行管理、財政民主主義の反映といった事前会計的性格に事後会計的視点を盛り込むこと、第二に平成13年4月に発足した現行独立行政法人と比べ地方自治体や特殊法人が異なる点としては、いわゆる税金(将来の税収を担保として発行する地方債を含む)や国庫からの繰入金以外の外部資金調達による業務が実質的かつ広範に存在し(とくに地方自治体の場合、都道府県)、財政対象事業と収益対象事業の整理が必要であること、第三に従来の投資と回収が切断された関係から投資と回収を連動させ貨幣的価値あるいは非貨幣的価値によって投資を回収する明確な連携が必要でありその制度の一部を政策評価制度が担うこと、第四に評価結果を次期計画に反映させるためには予算編成制度の改革が不可欠となるものの、その前提としては予算編成に資するこれまでとは異なる財務情報の多様化が必要であること、第五に予算編成に視する財務情報の多様化に関しては、ライフサイクルコスト等政策形成に視する財務情報の形成が必要であること、などの共通した課題が抽出できた。また、今後の地方財政に大きな影響を与える資金、人材、資産面でのストックサイクルが存在するにもかかわらず、これまでの予算編成、財務制度では地方自治体の財務をストック面から把握する仕組みがなく、このストック面の情報を把握すると同時に政策形成に反映させていくことが必要となっている。 以上の認識の下で、研究二年目になる平成14年度は、特殊法人の独立行政法人化に向けた財務会計の検討も整理しつつ、評価と連動した予算編成システムの形成に焦点をおき調査、研究を進めていきたい。
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Research Products
(1 results)