2001 Fiscal Year Annual Research Report
組織における不正行為とその再発防止策に関する制度的研究
Project/Area Number |
13873013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
梅津 光弘 慶應義塾大学, 国際センター, 専任講師 (50245619)
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Keywords | 企業倫理 / 情報倫理 / 技術者倫理 / 不祥事 / リスク・マネージメント / 企業倫理の制度化 |
Research Abstract |
本年度は主に日本における組織不正行為,不祥事の事例を過去10年にわたって文献やすでに公表されている雑誌記事等をつかって調査を進めた.同時にデータをデータベース化し,事例の類型化や組織論的観点からの特徴の解析に入った.その結果,日本における組織不正行為の報道や文献では,その発覚当初の情報はあるものの,その後の展開や顛末,原因の究明等について情報が非常に少なく,再発防止につながるような建設的な分析が不足していることが明らかになってきた.したがってデータ解析の分析枠組みを確定することは難しく,今しばらくデータを分類する試行を続ける必要がある.ただし,多くの多くの不祥事が,はじめは比較的些細な失敗からはじまり,組織内における情報の不均衡な配分あるいはコミュニケーションの不足,さらには隠ぺい体質などによりかえって増幅され,結果的には大きな不祥事として取り上げられ社会問題となるといったパターンがあることが予測される.こうした中間的な考察結果にもとづき,情報化社会における企業内での情報共有や情報制御のありかた,ひいては情報倫理のありかたというテーマが浮上し,それが「情報化社会における個人と企業と社会の倫理」という論文のかたちにまとまった.この論文の中では,情報倫理の基本的課題事項と分析枠組みに対する試論をまとめておいた.さらに,昨今の企業不祥事においては高度に技術化した問題も多くあがっており,企業における技術者の倫理といった観点からの考察も必要であることが判明した.これは今後一層の分析と考察がなお必要な分野であるが,その中間報告的な論考を日本機械学会「技術者倫理」第3章企業倫理と技術者倫理にまとめておいた.この論考の中でも科学技術者の企業内における倫理的課題事項の分析枠組みと主な課題事項を試論のかたちでまとめておいた.
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Research Products
(2 results)