2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13874021
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堤 誉志雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10180027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 雅好 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30179650)
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Keywords | 確立Korteweg-de Vries方程式 / Besov型Bourgain空間 / 周期境界条件 / 初期値問題 / 解の一意存在 / ブラウン運動の軌道の滑らかさ / ホワイトノイズ |
Research Abstract |
Korteweg-de Vries方程式は,流体力学やプラズマ物理に現れるモデル方程式として,古くから研究がなされている.近年,より現実的な現象を記述するモデルとして,確率的外力項(stocha-stic forcing term)を持つKorteweg-de Vries方程式の数理物理的研究が注目を浴びるようになった.このような問題に対し従来は,実数直線上の空間的に局在化した解について研究が行われてきた.この場合,Katoの平滑化作用(Kato's smoothing effect)により,確率項から生じる特異性を処理することが可能となる.しかし,周期境界条件を課した場合は,Katoの平滑化作用は期待できず,新たな研究方法が必要となる. 昨年度は,ブラウン運動の軌道の滑らかさを,Besov空間を用いて調べた.物理や工学の立場からもっとも興味があるノイズはホワイトノイズであり,これはブラウン運動を空間変数と時間変数に関して微分したものに相当する.今年度は昨年度の研究成果をふまえ,時間的にはホワイトであり,空間的にはホワイトに非常に近いノイズを外力項として持つKorteweg-de Vries方程式の初期値問題を,周期境界条件の下で研究した.今回は,Bouragainによるフーリエ制限法を用いたが,この方法を用いて解析を行うためには,外力項が時間変数に関しある程度の正則性を持つ必要がある.そのため,従来知られているフーリエ制限法を,この問題に直接適用することはできない.そこで,Besov型Bourgain空間を用いることによりこの困難を克服し,個別解の一意存在を証明することに成功した. 確率微分方程式に対する解の一意存在定理の研究は,多くの数値シミュレーションが周期境界条件の下で行われていることを考慮すると,数値シミュレーションを理論的に補強することにつながるものと思われる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Takeda: "Conditional gaugeability and subcriticality of generalized Schrodinger operators"J.Funct.Anal.. 191(2). 343-376 (2002)
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[Publications] D.-H.Kim, M.Takeda, J.-G.Ying: "Some variational formulas on additive functionals of symmetric Markov chains"Proc.Amer.Math.Soc.. 130(7). 2115-2123 (2002)