2001 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧下における有機物PAHの安定性とその惑星科学的適用の研究
Project/Area Number |
13874061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大谷 栄治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60136306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 友明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40312540)
鈴木 昭夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20281975)
近藤 忠 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20252223)
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Keywords | 高温高圧 / PAH / コロネン / ケロジェン / ダイヤモンドアンビル / 熱分解 / 赤外吸収スペクトル / 炭素質コンドライト |
Research Abstract |
宇宙空間の有機物としてPAHと炭素質コンドライト中の有機物の安定条件や存在環境を調べることは太陽系形成前後の炭素質物質の挙動のみでなく,惑星形成のメカニズムに関しても重要な情報を提供する.ここでは,PAHの一種であるコロネンと,炭素質コンドライトに存在する有機物のモデル物質としてケロジェンの,温度圧力に対する安定性を実験的に明らかにした.コロネンは針状の(〜500μm)固体結晶の試薬を使用した.ケロジェンは宮城県亘理郡亘理町鳥の海で採取してきた干潟の土から抽出したものを使用した.これらの試料をクランプタイプのダイヤモンドアンビルセルに封入し,外熱法によって加熱することによって,これらの物質の安定領域を明らかにした. コロネンについては,今回の赤外吸収スペクトルによる観察では,Yamamoto et al.(1994)によって報告されている〜2GPaの構造相転移に対応するような顕著なスペクトルの変化は観察されなかった.また,2〜6GPaの領域においても,ピーク位置がジャンプするような目立った変化は見られず,高圧下での吸収ピークは6GPaまで直線的に高波数側へシフトするのみであった. ケロジェンは常圧で,200℃以上で熱分解して,炭化水素を放出することが知られている(森田,1998;武田,1986),この熱分解の特徴と1.5GPa,250℃の回収試料の赤外吸収スペクトルの変化がよく一致することから,1.5GPaの高圧下においてもケロジェンは250℃以下で熱分解すると考えられる.今後さらにこれらの安定領域を解明するために,ダイヤモンドアンビルセルとともに,オートクレーブを用いた実験を行なう計画である.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 赤川健一, 大谷栄治 他: "高圧下でのPAHとケロジェンの安定性とその氷天体内部への適用"地球惑星科学関連学会2001年合同大会講演要旨. Ad-002. (2001)
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[Publications] 鈴木昭夫, 近藤忠, 大谷栄治: "顕微ラマン分光法を使用した微小試料の解析"岩石鉱物科学. 30. 241-246 (2001)