2002 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧下における有機物PAHの安定性とその惑星科学的適用の研究
Project/Area Number |
13874061
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大谷 栄治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60136306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 友明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40312540)
鈴木 昭夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20281975)
近藤 忠 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20252223)
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Keywords | 高温高圧 / PAH / コロネン / ケロジェン / ダイヤモンドアンビル / 多量体 / 赤外吸収スペクトル / 炭素質コンドライト |
Research Abstract |
本研究においては、星間空間や炭素質コンドライトのなかの有機物として認められるケロジェンおよび有機物PAHであるコロネンの高温高圧下における安定性を明らかにした。コロネンの安定領域はダイヤモンドアンビルおよびマルチアンビルを用いて、2-6Gpaの条件で1000Cまでの高温で明らかにした。その結果、6Gpaで数100Cの条件で回収した試料の質量分析計による測定によって、この試料中では、コロネンの二量体であるジコロニレン、三量体などの重合体が生成することを明らかにした。この多量体のラマンスペクトルと赤外吸収スペクトルの測定を行い、振動のモードを同定することができた。この実験結果は、宇宙塵や彗星などに含まれるコロネンは木星や土星の衛星の内部の温度圧力条件で重合してジコロニレンなどの多量体が安定に存在する可能性があることを明らかにした。 さらに、上記の有機物とともに、揮発性の物質の代表として、硫化マグネシウムと水の系のそう関係を、ダイヤモンドアンビルを用いて明らかにした。この系の溶融関係を約2Gpaまでの圧力で明らかにした。その結果を用いてエウロパやガニメデなどの氷衛星の内部状態を推定した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 大谷栄治, 久保友明, 鈴木昭夫: "プルーム内部でなにが起こっているのか、超高圧実験から見たプルームテクトニクス"熊沢峰夫, 丸山茂徳編, プルームテクトニクスと全地球史解読. 314-322 (2002)
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[Publications] 大谷栄治, 久保友明, 鈴木昭夫: "水が地球深部を支配する-超高圧実験の最新の成果"熊沢峰夫, 丸山茂徳編, プルームテクトニクスと全地球史解読. 323-325 (2002)
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[Publications] Suzuki, A., Ohtani, E., Funakoshi, K., Terasaki, H., Kubo, T.: "Viscosity of albite melt at high pressure and high temperature"Physics and Chemistry of Minerals. 29. 159-165 (2002)
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[Publications] Kubo, T., Ohtani, E., Kato, T., Urakawa, S., et al.: "Mechanisms and kinetics of the post-spinel transformation in Mg_2SiO_4"Physics of The Earth Planetary Interiors. 129. 153-171 (2002)
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[Publications] 近藤忠: "ダイヤモンドアンビルセルを用いた高温高圧力実験と放射光実験の進歩"高圧力の科学と技術. 12・2. 112-119 (2002)
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[Publications] Kubo, T., Ohtani, E., Kondo, T., Kato, T., et al.: "Metastable garnet in oceanic crust at the top of the lower mantle"Nature. 420・6917. 803-806 (2002)