2001 Fiscal Year Annual Research Report
伝導性スピンクロスオーバー錯体の合成と高機能複合化
Project/Area Number |
13874093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
黒田 孝義 近畿大学, 理工学部, 助教授 (80257964)
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Keywords | スピンクロスオーバー錯体 / Fe-Schiff塩基錯体 / TCNQ / 電気伝導性 |
Research Abstract |
拡がったπ系を有する種々のSchiff塩基を鉄イオンに配位させ、新規なスピンクロスオーバー錯体の合成を目指した。π系を拡張することにより、分子間のπ πスタッキングの相互作用が強くなり、電気伝導性が期待される。Schiff塩基としてはこれまでに鉄イオンとのスピンクロスオーバー錯体が知られているN-(8-quinolyl)salicylaldimineに比べて、より拡がったπ系を有するN-(8-quinolyl)-2-hydroxy-1-naphthaldimine(Hqhna)やN-[3-(2-hydroxy)-naphthyl]-2-quinolinecarboxaldimine(Hhnqa)を用いた。Schiff塩基は中性のまま、或いは脱プロトン化を行ったアニオンの状態でFe(II)及びFe(III)イオンに配位させ錯体合成を行ったが、沈殿は得られるものの結晶化は困難であった。磁化率測定の結果から、Fe(III)-qhna錯体の場合に室温付近でスピンクロスオーバーを示すことを確認した。但し、塩化鉄(III)を用いた実験では塩化物イオンが配位した錯体が得られているため極低温まで高スピン状態のままであった。得られた沈殿は絶縁体であった。今後はTCNQ等の平面性アクセプター分子を介在させて結晶化を行い、伝導性を有する化合物の単結晶合成を行うとともに、磁性が伝導性に及ぼす影響について詳細に検討する予定である。
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