2001 Fiscal Year Annual Research Report
色覚視物質遺伝子と動物行動の関連性の解明に向けた萌芽的研究
Project/Area Number |
13874105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河村 正二 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (40282727)
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Keywords | 霊長類 / 視物質 / オプシン / 色覚 / 新世界ザル |
Research Abstract |
新世界ザルはホエザルとヨザルを例外として、色覚に大きな種内変異を有する特異な動物群であり、色覚進化と行動進化の関連性を検討する格好の対象である。しかしそのためには野生動物にも応用できる。色覚型判定法の確立が必要である。色覚の多型性は赤・緑視物質遺伝子がX染色体性の1遺伝子座位で遺伝的多型性をもつことによる。色覚型は赤・緑視物質遺伝子の塩基配列を決定することにより判定できる。そこで野生動物から最も入手可能性の高い生体試料である糞や尿かDNAを抽出し、PCR法で目的の視物質遺伝子を単離し配列決定する方法を確立することを本研究の目的とした。赤・緑視物質の遺伝子型は第3及び5エクソンに含まれる合計3個のアミノ酸座位によって決定されるため、これら2エクソンを含DNA断片約3.7kbの増幅を試みた。リスザルとオマキグルの血液と糞を試料として用いた。血液試料については、アニーリング時間を5〜10秒と短くすることにより非特異性増幅が抑えられることがわかり、PCR産物を除タンパク質処理しただけの精製物を用いPCRプライマーより内側領域をプライマーとしたダイレクトシーケンスにより目的とする塩基配列を読むことができた。これにより各個体の色覚型を判定した。個体間の家族関係が既知のものについては、色覚型が正確に燃色体性の遺伝パターンと一致していることを確認した。糞試料についてはまだ調査が不十分であり、血液での実験条件を基本に今後さらに検討していく必要がある。
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Research Products
(1 results)