2001 Fiscal Year Annual Research Report
分化制御面でのミトコンドリア新奇機能の解明に向けての研究
Project/Area Number |
13874114
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前田 靖男 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (50025417)
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Keywords | ミトコンドリア / 細胞分化 / 細胞周期 / RPS4 / シアン耐性呼吸 / 細胞性粘菌 / TRAP1 |
Research Abstract |
ミトコンドリアによる分化制御の機構を、Dictyosteliumの発生系を用いて、ミトコンドリア・リボゾームタンパク質S4(RPS4)およびミトコンドリア局在型熱ショックタンパク質90(mt-HSP90 ; TRAP1)の機能と細胞内局在性に注目して解析した。その結果、以下に示す点が明らかにされた。 1)アンチセンスrps4によりRPS4発現抑制株を作製したところ、この株ではrps4部分破壊株と同様、飢餓処理後の分化の進行が著しく遅れ、RPS4の発現が分化の開始に必要とされることが再確認された。 2)RPS4に対する特異抗体を作製し、蛍光抗体法によりRPS4の細胞内局在性を調べたところ、RPS4はミトコンドリア内に存在することに加えて、注目すべきことに、細胞質ゾル中にも存在することが示された。 3)TRAP1に関しては、ホモロガスリコンビネーションによる遺伝子破壊株およびアンチセンスRNA法による発現抑制株の作製を試みたが、これらの株は今のところ得られておらず、TRAP1の発現抑制は致死をもたらすことが示唆された。 4)他方、TRAP1の過剰発現株では、飢餓後の分化・形態形成が大幅に遅れ、TRAP1の発現は分化の開始あるいは進行にむしろ阻害的にはたらくことが明らかにされた。 5)TRAP1の細胞内動態等を調べるために、TRAP1に対する特異抗体を作製して解析したところ、非常に面白いことに、TRAP1は増殖期には細胞表層のコーテックスに局在するが、分化に伴ってミトコンドリアに移行することが分かった、このことはTRAP1-GFPを発現する形質転換体を用いた生体観察によっても確かめられた。また、増殖期細胞の表層ではTRAP1はアクチンと結合して存在することが示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] I.Rafols, A.Amagai, Y.Maeda et al.: "Cell type proportioning in Dictyostelium slug : lack of regulation within a 2.5-fold tolerance range"Differentiation. 67. 107-116 (2001)
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[Publications] Y.Takaya, H.Kikuchi, Y.Terui et al.: "Novel aromatic substances, dictyomedin A an B, from Dictyostelium cellular slime molds and its inhibitory effects"Tetrahedron Letter. 42. 61-63 (2001)