2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13875003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
庭野 道夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20134075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 康男 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (40312673)
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Keywords | C60 / 量子コンピューティング / 水素付加 / キュビット / フラーレン化合物 / 赤外分光 |
Research Abstract |
本研究では、NMR量子コンピュータのハードウェアとしてフラーレン化合物を用いる方法を検討することを目的とした。フラーレン分子の中でもっとも対称性がよく、大量生産されているC60をNMR量子コンピュータとして用いるためには、この分子上に相互作用する量子系を構築する必要がある。そこで、本年度は、まず、この分子に水素やメチレン基などを付加する方法を検討した。 研究実績は以下の通りである。 (1)水素化C60の基礎物性の検討(庭野、木村) 市販の水素化C_<60>であるC_<60>H_<38>の赤外吸収スペクトルを測定した。超高真空中でC_<60>H_<38>の分子をSi基板表面に蒸着し、多重内部反射赤外分光法で吸収スペクトルを測定した。得られたスペクトルはこれまでの測定結果や理論計算と一致するものであった。 (2)C60に水素を付加する方法の検討(庭野,木村) これまで、C60に水素を付加する方法は様々検討されている。本年度は、簡便な方法として、水素化C60をSi表面に蒸着し、その膜表面に原子状水素を照射することによって水素付加を実現する方法を検討した。前項のC_<60>H_<38>をSi基板表面に蒸着し、水素分子を熱フィラメント法で励起して生成した原子状水素を照射し、分子の変化を多重内部反射赤外分光法で観測した。その結果、この方法では、水素付加はできないことが分かった。さらに、C_<60>H_<38>の蒸着膜をアニールした場合、この分子は基板のSiと反応することなく分子状で表面から脱離した。対象系としてメチルシラン分子を取り上げ、同様の実験を行ったが、この分子の場合はSi基板表面と反応することが観測された。C_<60>H_<38>の分子に水素を付加するには、他の方法を検討する必要があることが分かった。
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Research Products
(1 results)