2001 Fiscal Year Annual Research Report
鋼構造溶接接合部品質と建築生産プロセスとの相関分析
Project/Area Number |
13875099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 教授 (00207771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 淳 三重大学, 工学部, 講師 (50224746)
吹田 啓一郎 京都大学, 防災研究所, 助教授 (70206374)
古阪 秀三 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60109030)
桑原 進 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10243172)
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Keywords | 鋼構造 / 溶接 / 鋼材 / 接合部 / 施工 / 品質 / 基準 |
Research Abstract |
兵庫県南部地震被害による最大の教訓であるはずの溶接施工品質確保について、過去五年間の研究がそれを正面から取りあげない事実、品質対コストが陽に議論できない日本の建設業の欠陥、その欠陥の犠牲者としてのファブリケーションインダストリの危機という閉塞した図式にブレイクスルーを求め、品質確保に対する正当な議論を呼び起こすことを本研究の命題とし、平成13年度では、下記の資料収集と分析を実施した。(1)品質確保に資する主たる「検査基準類」を俎上にあげ、その制定の経緯、当時の技術背景、その後の改訂状況を調査した。その結果、精度に関わる指針は、小規模の改訂はあるものの、過去20年間ほとんど変化していないこと、NC機械などの導入によって要求精度を満足することは容易であること、溶接技術の進歩を考えれば、溶接開先に関する規定はいたずらに溶接量を増やす元凶となっていること、などが明らかになった。またUT検査に関わる規準は、1979年以来ほとんど変わっていないこと、鋼材、溶接材料などの高度化にも関わらず、合否判定に用いる限界欠陥長さが変わっていない事実は、総合的な品質判定において不合理であることを同定した。(2)1970年代前半鋼構造建物が急増した時期と現在を、鋼材、溶接材料、構造形式、接合部形式、溶接管理、施工管理などの視点から比較した。鋼材や溶接材料の基本的仕様にほとんど変動はないこと、1970年当時は構造・接合部形式ともに標準仕様が確立されておらず、従って建物によって千差万別であったこと、溶接技能者に対する資格が整備されていなかったことなどが明らかになった。ただ当時は新しい技術の導入に対する意欲が高く、事前の実験や事後の検証においても十分に検討されていた事実も浮かびあがった。過去30年鋼構造建物設計・施工の第一線で活躍してきた技術者らへのアンケートによれば、現在を1.0としたとき、30年前の(総合品質)は概ね0.8である。上記(1)、(2)いずれにおいても、詳細なバックデータを参考文献とした資料を整備した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakashima, M.: "Unresolved Issues on Earthquake Resistance of Steel Building Structures"Proceedings of the Seventh International Symposium of the Japan Welding Society, November 20-22, Kobe, Japan. 1-6 (2001)
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[Publications] 多田元英: "鋼構造建築の耐震設計に関する日米比較(モーメント骨組と筋違い骨組の分類と地震荷重)"鋼構造論文集(日本鋼構造協会). 第8巻・31号. 129-143 (2001)
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[Publications] 中島正愛: "建築と土木の棲み分けと連携-建築と土木の違い:耐震設計-"建築雑誌. Vol.116・No.1473. 20-22 (2001)