2002 Fiscal Year Annual Research Report
鋼構造溶接接合部品質と建築生産プロセスとの相関分析
Project/Area Number |
13875099
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 教授 (00207771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 淳 三重大学, 工学部, 講師 (50224746)
吹田 啓一郎 京都大学, 防災研究所, 助教授 (70206374)
古阪 秀三 京都大学, 大学院・工学研究所, 助教授 (60109030)
桑原 進 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10243172)
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Keywords | 鉄骨骨組 / 地震被害 / 品質 / 溶接 / 精度 / 施工 |
Research Abstract |
兵庫県南部地震被害による最大の教訓である溶接施工品質確保に対する正当な議論を呼び起こすことを本研究の命題し、以下の4項目を研究課題とした。 (1)「トンx円」というコスト計算と現実の溶接施工コストの乖離を量として提示すること:(2)ファブリケーションインダストリの実態を量として提示すること:(3)将来の労働力不足への対応と品質確保への道を開きうる「自動化溶接技術」の実情分析に基づいて、この技術の目指すべき姿の一つを例示すること:(4)溶接施工の品質チェックとしての「溶接検査技術」に焦点をあて、検査の難易度(接合部設計詳細に依存する)と検査の信頼性の関係について基礎情報を獲得すること: このうち平成14年度においては主として(3)、(4)に関する分析を実施し、以下の知見を得た。現状のロボット溶接施工の実態を踏まえ、ロボット溶接施工に要する時間と溶接工による溶接時間との関係を検討した結果、ロボット溶接施工においては、精度確保のための初期位置決めに多くの時間を要し、それほど時間の節減にはつながらない可能性が高いこと、また従来のロボット溶接は、溶接工が行う溶接手順をそのまま踏襲したものであり、ロボット利用の長所を必ずしも発揮できていないことを同定した。またロボット溶接適合型接合部の具体例として、通常35度に設定される溶接開先角度を相当小さくした狭開先溶接を指摘した。 1970年代に整備された建築溶接超音波探傷(UT)規準を俎上に挙げ、特に合格判定基準となった当時の実験資料を詳細に分析した結果、当時の詳細な実験は現在においても十分適用できるほどに高級なものであったこと、鋼材や溶接材料の靱性向上は著しく、同じ欠陥であってもそれが破壊へと親展する程度は当時とは異なることが予想されることを指摘した。また鋼材や溶接材料の性質、鉄骨建方精度指針についても、当時から現在に至る変遷を比較対照表としてまとめた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakashima, M.: "Lateral Instability and Lateral Bracing of Steel Beams Subjected to Cyclic Loading"Journal of Structural Engineering, ASCE. Vol.128 No.10. 1308-1316 (2002)
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[Publications] 中島 正愛: "鉄骨品質の基本問題-コスト意識の高揚なくして鋼構造に未来はありうるか-"鉄骨シンポジウム論文集-品質・生産性を考慮した鉄骨の設計・施工技術、(日本鋼構造協会). 1-6 (2002)
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[Publications] 中島正愛: "建築鉄骨工事検査技術の現状と問題"鋼構造論文集、(日本鋼構造協会). 第35号(発表予定). (2003)