2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13875109
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 毅 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70206499)
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Keywords | 中高生 / 居場所 / 思春期 / 青少年 / 居方 / 学び / 公共性 / 地域 |
Research Abstract |
1.思春期の子どもにとっての居場所の意味 近年、思春期の子どもたちの居場所として様々なタイプの場がつくられている。これらは場における他者との関係<同質-異質>と、場への関わり方の程度<参加-非参加>に注目することで、次の4つのタイプに分類できる。 (1)<同質-参加>:仲間と共にある目的をもった活動を行うことができる場で、クラブ活動やサークル等 (2)<同質-非参加>:仲間と共に自由に安心して過ごせる場で、自分の部屋や公園、秘密基地等 (3)<異質-参加>:異質な世界、非日常的な世界の体験が提供されている場で、体験学習や地域の行事等 (4)<異質-非参加>:異質な世界を「垣間見る」ことができる場で、異質な世界への本格的な参加へのきっかけ・足場となる場。先進的な自治体における中高生を対象とする青少年施設の他、地域の人々の手による文化とコミュニティ育成の場をつくる試み等 2.居場所づくりからみた地域のあり方 以上の4つのタイプの居場所のうち、注目すべきは(4)<異質-非参加>のタイプである。さらに詳しく見ると、このタイプの居場所は、各人が「思い思いで居られる」場、「文化の媒介者(メディエーター)」(佐藤学)としての役割を果たす場、という意味を有することがわかる。「思い思いで居られる」場とは、様々な属性の人々がそれぞれ好きなことをしている場に、自然に身を置くことができる場であり、「佐倉市ヤングプラザ」はこれを実現した事例である。一方、思春期の子どもにとって「重要な他者(significant others)」と関わることは重要だが、「文化の媒介者(メディエーター)」としての場は、親や教師以外の「重要な他者」と触れ合うことができる場となっている。近年では地域の人々の手により、このような公と私の中間領域としての場を目指した喫茶店などもつくられており、日本社会における公共性を問い直すという点でもこのタイプの居場所の意義は大きい。
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