2001 Fiscal Year Annual Research Report
Fries転位を利用した水酸基集積場の位置・配向選択的構築
Project/Area Number |
13875172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 和彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (80016154)
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Keywords | Fries転位 / ルイス酸 / タンデムFrise転位 |
Research Abstract |
Fries転位は,古典的な反応であり,長期間にわたって用いられてきた反応であるが,反応の系統的な検当は行なわれてこなかった。すなわち,同一反応条件,同一の基質を用いての酸触媒の活性の比較ならびに同一酸触媒を用いて,種々の基質間における反応性の比較について,統一的に報告した文献は少ない。そこで,先ず,酸触媒の活性を比較するために最も適した基質を検討することにした。 種々のアルキル置換フェニルアセテートを合成し,ルイス酸としてSc(OTf)_3およびHf(Of)_4を用いてそれぞれの基質についてフリース転位を行なって,目的生成物の収率を比較したところ,3-メチルフェニルアセテートを基質として用いた場合が,2種類のルイス酸間での収率の差が最も大きいことがわかった。よって,この基質を用いて種々の酸触媒の活性を比較することとした。 Fries転位で歴史的に用いられているAlC1l_3,FeCl_3,最近注目を集めているランタニド系のルイス酸であるSc(OTf)_3,およびHf(OTf)_4,ZrCl_4, TiCl_4を酸触媒として用いて,3-メチルフェニルアセテートの.Fries転位を行なった。その結果,AlCl_3およびHf(OTf)_4を用いた場合に良好な収率で転位生成物が得られた。そこで,安価なAlCl3を酸触媒として安価なタンデムFries転位の検討を行なうことにした AlCl_3を用いて,4,4'-ジクロロフェニルイソフタレートのタンデムFries転位を試みたところ,16%の収率で目的の転位生成物が得られた。収率には改善の必要があるが,これはタンデムFries転位が成功した初めての例である。
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