2001 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミン、ミネラルの新しい生理作用の検索―DNAマイクロアレーを用いた解析―
Project/Area Number |
13876028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古川 勇次 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60005626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 仁 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (40206280)
駒井 三千夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80143022)
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Keywords | DNAマイクロアレイ / ビタミンK / 亜鉛 / 網羅的解析 |
Research Abstract |
本研究は、幾つかの栄養状態の異なるモデル動物を用いて、それらの動物における遺伝子の発現変化をDNAマイクロアレイを用いて検出し、その発現パターンをコントロールと比較することによって、栄養素が多岐に渡って遺伝子発現に影響を与えていることを確認するとともに、新規の標的遺伝子を同定し、新しい生理作用を模索することを目的とした。 ビタミンKまたは亜鉛含量の異なる実験食をラットに給餌し、栄養状態の異なるモデル動物を作成した。これらの動物の栄養状態は機器分析法により評価した。ビタミンKの場合、各臓器中のビタミンK含量をHPLCで、亜鉛の場合、血漿亜鉛濃度を原子吸光分光高度計で測定し、それぞれの栄養素の欠乏状態であることを確認した。次に、各臓器からmRNAを精製し、標識ヌクレオチド存在下でcDNAを作製した。得られた標識cDNAと市販DNAマイクロアレイをハイブリダイゼーションさせ、発現プロファイルを得た。 ビタミンK欠乏の場合、肝臓では急性期相タンパク質ファミリーに属する一群の遺伝子の発現が顕著に変化し、このビタミン欠乏によって組織内で炎症反応が起こっていることが示唆された。また、亜鉛欠乏ラットの脳の各部位における発現プロファイルを解析したところ、亜鉛を補因子とする酵素や転写因子の発現変化が見られた。さらに、摂食行動をコントロールするペプチドやシグナル伝達に関与するレセプター、キナーゼなどが変化し、亜鉛欠乏による摂食行動変化を裏付ける結果が得られた。発現量の異なる遺伝子種の幾つかについて、RT-PCR、ノーザンハイブリダイゼーションによってRNA量を定量的に測定したところ、マイクロアレイで得られた結果とほぼ同様の結果が得られたことから、本方法によって実際に発現量の異なる遺伝子種を検出できることが確認された。今後は、栄養素の新規作用に結びつく結果を得るために、多変量解析、階層的クラスタリング法などによって発現プロファイルを詳細に解析する。
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Research Products
(2 results)