2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13876041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木島 明博 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50161451)
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Keywords | 雄性発生 / マガキ / エゾアワビ / 紫外線照射 / 染色体倍加処理 / 遺伝的不活性化 / サイトカラシンB / 第一卵割阻止 |
Research Abstract |
貝類の雄性発生2倍体は世界的に全く報告が無い。また、貝類では雌性発生2倍体も作出不可能とされ、近交系を用いた生物学的研究や、養殖系統及び品種の固定化技術の遅滞を招いている。本研究は貝類の雄性発生半数体の作出の技術の確立とその機構を明らかにすることを目的として、本年度はマガキ、ホタテガイおよびエゾアワビを対象として、紫外線照射による卵の遺伝的不活性化と雄性発生半数体作出および発生機構の把握、および第一卵割阻止による雄性発生2倍体の作出条件に関する知見を得ることを目的とした。 (1)紫外線照射による卵の遺伝的不活性化条件の検討:マガキおよびエゾアワビの卵に種々の紫外線照射量を与え、それぞれ同種の精子によって媒精させた後の発生とトロコフォア幼生の染色体数によって卵の遺伝的不活性化条件を検討した。その結果、マガキでは紫外線照射時間が増加するほど受精率が低下したが、90秒照射(照射量6480erg/cm2)においても50%以上の受精率と浮上率が観察された。また、ラーバの染色体数は対照区では20本であるが、照射10秒以上、照射時間の増加に伴い染色体数の減少がみられ、照射60秒から以降は半数体を示す10本のところにモードが認められ、90秒照射で染色体数10本にもっとも顕著なモードが観察された。さらに、D型幼生の正常率をみると、60秒照射では数%の正常個体が認められたが、90秒照射ではすべて奇形となることを示した。従って、マガキの場合、紫外線照射90秒においてもっとも効果的に卵の遺伝的不活性化ができることが分かった。一方、エゾアワビにおいて同様の実験を行った結果、120秒照射以上で効果的であると判断されたが、卵形が大きく、確実な最適照射時間を得ることはできなかった。(2)紫外線照射90秒以上による半数体発生卵において、雌性核と雄性核の動態をDAPI染色によって観察したところ、雄性核がすべて極体として放出される卵が認められ、人為雄性発生が生じていることを確認した。(3)紫外線照射卵による半数体発生個体に種々の条件でサイトカラシンB処理を行い、人為雄性発生2倍体の作出の可能性を調べた結果、正常個体は得られなかったが、染色体数20本の個体が出現し、雄性発生2倍体作出の可能性が得られた。
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