2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13877002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
牛木 辰男 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40184999)
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Keywords | 脳脊髄液 / 嗅神経 / リンパ管 / リンパ節 |
Research Abstract |
本研究は、嗅神経に沿った脳脊髄路の吸収路について解析し、1)ラットにおける脳脊髄液の流出路としての嗅神経の微細構造、2)嗅神経と嗅粘膜リンパ管の立体位置関係、および3)脳脊髄液の監視機構としての頚リンパ節の反応を明らかにしようとするものである。 そこで今年度は、嗅神経の構造と嗅粘膜のリンパ路との関係の形態学的基盤を得ることを目標とし、ラット大槽(小脳延随槽)から脳脊髄液に墨汁を注入し、頚部リンパ節への流出路を描出した。大槽に注入した墨汁は、30分ほどで浅頚リンパ節に流入した。解剖して輸入リンパ管を追跡してみると、その主要な経路は鼻粘膜のリンパ管からであることがわかった。組織学的検索から大槽に注入した墨汁は、嗅球の下面,節板の部位から嗅神経の神経周膜に沿って嗅粘膜に墨が出現していた。嗅粘膜では、嗅神経の神経周膜(嗅神経鞘)から粘膜の結合組織に漏れだした墨汁が近接する洞様リンパ管に回収されていた。以上からこの墨汁が鼻粘膜下のリンパ管網を通って鼻腔を離れ、浅頚部(および深頚部)のリンパ節に注いでいることが明らかになった。嗅神経の神経周膜の電子顕微鏡的解析や、嗅粘膜のリンパ管の詳しい解析、墨汁の頚部リンパ節内の分布の特徴、くも膜下腔の壁に存在する免疫系細胞の分布と性状などついては、今後の課題である。
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