2001 Fiscal Year Annual Research Report
臓性抹消器官における温痛覚神経線維分布の選択的追跡
Project/Area Number |
13877004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
小林 靖 杏林大学, 医学部, 助教授 (00195819)
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Keywords | 痛覚 / 温度感覚 / 脊髄神経 / 臓性器官 / 漿膜 / レクチン / 順行性標識法 / C線維 |
Research Abstract |
臓性末梢器官において温痛覚線維を標識してその分布を解析するために、13年度は4つの課題の解決を目標とし、それぞれに対して下記の成果を上げた。 1.最適な大きさの実験動物の選択:予備実験の結果、本研究ではレクチン注入手術の容易さと末梢の線維分布解析解析の容易さという、相反する条件を調和させるため、8週齢程度のラットを主に使用し、一部マウスを加えることにした。 2.出血によるレクチン吸着阻害の防止法:出血を抑制してレクチンの細胞内への取り込み効率を上げるため、注入手術の際にノルエピネフリンを神経節周辺へ滴下し、さらにレクチン溶液にも添加することで、良好な結果を得た。 3.注入手術後の至適生存期間:注入後3日から5日の間で最も明瞭な順行性標識を確認した。 4.効率的な解析のための標本処理法:臓側漿膜の解析のためには、連続切片からの3次元再構成を採用することにした。隣接切片の位置合わせのため、組織をゼラチンに包埋して連続切片を作成する至適条件を検討した。その結果、滑走式ミクロトーム使用時には40-50μm厚で、クリオスタット使用時は10μm厚でほぼ完全な連続切片を作成可能となった。また、切片作成中にブロックの薄切面をデジタルカメラで撮影し、その画像に基づいて再構成の位置決めを行う方法を開発し、薄切後の切片変形による3次元再構成像の歪みを回避することが可能となった。壁側漿膜解析のための伸展標本作成法については、広い範囲の漿膜を一定の厚さで採取すること、ならびに曲面をなす漿膜をスライドグラス上に伸展することが困難であり、未だ安定した方法を確立するに至っていない。この点については14年度に引き続き検討する予定である。
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