2001 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素の細胞膜透過に関る「CO_2チャネル」は存在するのか?
Project/Area Number |
13877015
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮田 健 熊本大学, 薬学部, 教授 (90040310)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
礒濱 洋一郎 熊本大学, 薬学部, 助教授 (10240920)
|
Keywords | 肺胞上皮細胞 / aquaporin / ガス交換 / 細胞膜透過性 / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
従来,水,尿素,酸素(O_2)および二酸化炭素(CO_2)などの小分子は,細胞膜を自由に通過すると考えられてきたが,近年の水チャネルaquaporinやureatransporterの発見により,これらの小分子の輸送は単純拡散だけではなく,特異的機序によって促進されていることが分かってきた.しかし,CO_2およびO_2などのガス分子については,未だにほとんど調べられていない.本研究では,肺胞上皮細胞の初代培養系を用いてCO_2ガス分子の膜輸送について調べた.肺胞II型上皮細胞は,3日以上培養すると肺胞I型細胞様の細胞へと自発的に分化する.この分化に伴う,CO_2ガスの細胞膜透過性の変化を調べると,I型細胞への分化によって約2倍に増加することが分かった.このCO_2ガス分子透過性の亢進は,水チャネルaquaporin-5発現の亢進と相関したことから,aquaporin-5がCO_2ガス透過促進の機序である可能性を推定し,さらに追求した.アフリカツメガエル卵母細胞にaquaporin-5を発現させると,細胞膜のCO_2ガス透過性は約2倍に亢進した.同様のCO_2ガス透過性の亢進はaquaporin-1によつても観察され,aquaporinによるガス分子の膜透過性亢進作用は,アイソフォームに依存しなかった.しかし,肺上皮細胞の細胞株にaquaporin-5を過剰発現させても,細胞膜のCO_2ガス透過性は亢進さられなかった.これらの結果から,細胞膜のCO_2ガス透過性はaquaporinによって亢進されるものの,ほ乳類細胞では少なくともaquaporinのみではなく,他の機序が重要であることが示唆された.現在,I型細胞に特異的に発現する数種の蛋白質を単離し,CO_2ガス分子透過性に対する作用を検討している.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Isohama Y., Rooney, SA: "Glucocorticoid enhances the response of type II cells from newborn rats to surfactant secretagogues"Biochim Biophys Acta. 1531. 241-250 (2001)
-
[Publications] Isohama Y, Kanemaru M, Kai H, Takahama K, Miyata T.: "Interaction between β-adrenergic signaling and protein kinase C increases cytoplasmic Ca^<2+> in alveolar type II cells"Life Sciences. 68. 2361-2371 (2001)
-
[Publications] Morsy MA, Isohama Y, Miyata T.: "Prostaglandin E_2 increases surfactant secretion via the EP_1 receptor in rat alveolar type II cells"Eur J Pharmacol. 426. 21-24 (2001)
-
[Publications] Nagayama S, Isohama Y, Miyata T, Kai H. ほか: "Carbenoxolone, a new inducer of heat shock protein 70"Life Sciences. 69. 2867-2873 (2001)